海外のチーフレジデントが,コロナ下で工夫する研修医教育は
寄稿 金 允泰,木下 雄仁,西澤 俊紀
2021.06.14 週刊医学界新聞(レジデント号):第3424号より
チーフレジデントに必要な能力の獲得とネットワーク形成を目的に,全米の次期内科チーフレジデントが集うAssociation of Program Directors in Internal Medicine(APDIM)Chief Residents Virtual Meetingが4月7~8日,オンラインで開催されました。当院から3人のチーフレジデントが参加した今回,海外のチーフレジデントたちがコロナ下の困難にどう向き合い工夫を凝らしているかが紹介されました。本稿では,オンライン教育の工夫と研修環境整備の2つに焦点を絞り報告します。
オンライン教育で聴衆の動機付けをいかに促すか
コロナ禍で,大人数が集まる従来の教育カンファレンスが難しくなった現状を踏まえ,Zoomなどウェブアプリケーションを用いた教育方法やカンファレンスの話題が取り上げられました。オンライン教育には,例えば当直明けや地域研修中のレジデントが自宅や遠隔地から参加できるメリットがあります。一方で学習における3要素(集中する,理解する,吸収する)のうち,集中力の維持が課題に挙がりました。
そこで,レジデントをレクチャーに引き込み集中させる方法として,質問やケースシナリオ,小話,イラストなどの導入,投票機能やグループチャット,ブレイクアウトルームを使いながら聴衆が能動的に参加できる仕組みを企画し,カメラをオンにしたアイコンタクトや,ボディランゲージを表現する重要性が強調されました。
理解や吸収を助ける工夫には,レクチャーで得られるアウトカムを最初に提示して内容を簡潔にすることや,“Chunk & Chew”という10分間の説明後に2分間の情報処理やInteractionに時間を取るテクニック1),NERD(Narrow:話題を絞る,Evidence-based:EBMに基づく,Relevant:症例と関連性がある,Digestible:頭に残りやすい)のフレームワークが紹介されました。
得た学びは,当院が毎朝オンラインで行う15分間の...
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