医学界新聞

インタビュー 沼田 るり子,宮内 亮輔

2021.02.08 週刊医学界新聞(レジデント号):第3407号より

 海外医学部を卒業してすでに日本で初期研修を終え,専門領域の第一線で研さんを積む医師がいる。海外医学部への進学にはきっと不安もあったはずだ。進学を決意するに当たり,何が背中を押したのだろうか。キャリアの背景を探るべく,2人の臨床医にインタビューを行った。

  • 沼田 るり子氏

  • 筑波記念病院循環器内科
    (2013年ハンガリー・センメルワイス大学医学部卒)

 「日本で悶々と医学部浪人生活を続けるよりも,一歩でも前に進みたい!」と思い,海外医学部への進学を決意しました。そしてハンガリー医科大学事務局(HMU)が実施している医学部進学プログラムの1期生として,2007年にハンガリーのセンメルワイス大に入学。日本人の先駆者がいない不安はありましたが,英語で医学の勉強ができることは大きなメリットだと感じていました。同プログラムでは医学部受験前にハンガリーで英語や生物などの勉強に備える「予備コース」も用意されています。そのため,ハードルを一つひとつクリアして医学部入学をめざすことができそうと感じて,予備コースから始めました。

 「日本の医学部は入るのは難しいけれど,入学後は学生生活を謳歌できる」としばしば言われます。ハンガリーでは逆です。授業では毎週のように試験があり,それに落ちると中間テストさえ受けられないため,かなりの緊張感がありました。とにかく勉強勉強の毎日で,アルバイトや部活をする余裕は全くありません。忙しい日々でしたが,医師になる夢をかなえるための勉強を重ねることでモチベーションを高く保ち,また周りの仲間たちに支えられて何とか乗り越えられました。生活面では住宅探しや銀行口座開設といった留学会社のサポートもあり,勉強に打ち込むことができました。

 ハンガリーでの学生生活で得られた最も大きな収穫に,基礎医学を徹底的に叩き込まれたことが挙げられます。生理学であれば『ガイトン生理学(Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology)』のように,バイブルとなるスタンダードなテキストを何回も読み込んで確認テストに備えました。学生の頃に薬効の理論的背景などの徹底的な基礎固めを行ったことが,循環器内科医としての自身のキャリアにつながっていま...

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