医学界新聞


第2回日本メディカルAI学会の話題から

2020.02.17



創薬ターゲット探索にAIで挑む
第2回日本メディカルAI学会の話題から


 第2回日本メディカルAI学会学術集会(会長=株式会社ヒューマノーム研究所・瀬々潤氏)が1月31日~2月1日,「AIを医師にも患者にも」をテーマに東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された。本紙では,AIを用いた創薬ターゲット探索について議論されたシンポジウム「内閣府のメディカルAI研究戦略とその成果」(座長=システム・バイオロジー研究機構・北野宏明氏)の模様を紹介する。


AIに期待される新規創薬の可能性

大会長の瀬々潤氏
 2019年度に創設された内閣府「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)」の1つとして採択された「新薬創出を加速する人工知能の開発」では,肺がんおよび特発性肺線維症(IPF)における新規創薬ターゲット(医薬品が作用するタンパク質等の生体内分子)を探索するAIの開発がめざされている。

 初めに本プログラムのプログラムディレクターを務める神戸大大学院医学研究科の榑林陽一氏が登壇した。氏は,本プログラムの企図に近年の新薬開発の生産性低下を挙げ,その原因の一つとして,未解明な難病や希少病へと創薬対象が移行していることを解説した。特に創薬ターゲットの枯渇は深刻であり,細胞や動物による実験を中心とした従来の創薬ターゲット探索には限界があるとの見解を示した。

 本プログラムは厚労省と文科省の連携のもと,医薬基盤・健康・栄養研究所を中核に,理研,科学技術振興機構,大学など,国内14機関が緊密に連携し,AI技術を用いて新規アルゴリズムや技術創出をめざす。現在,各機関で研究成果が徐々に生まれており,榑林氏は「成果をもとにさらなる発展を見据え,今後は全ての研究成果をオープンソース化して,広く健康・医療領域での活用促進につなげたい」と語った。

 阪大病院のバイオバンクデータを用いて,間質性肺炎患者からIPF患者を...

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