医学界新聞

2019.10.07



心毒性の評価と治療の進め方
第67回日本心臓病学会学術集会の話題より


 がん治療の進歩により,がん患者の治療成績が経年的に向上している。その一方で新たな課題となっているのが,がん治療による心毒性(cardiotoxicity)の出現だ。がんと循環器双方の視点から診療する腫瘍循環器学(Cardio-Oncology)に,循環器内科医はどう関与すればよいか。第67回日本心臓病学会学術集会(9月13~15日,名古屋市)で行われた根岸一明氏(豪シドニー大)による特別講演「がん化学療法による心毒性のマネジメント」の模様を報告する。

がん治療のステージに応じた心毒性のマネジメントを

講演する根岸氏
 抗がん薬による心毒性のマネジメントについて根岸氏は,「リスクの層別化と,がん治療を時間軸で見ることが重要」と述べた。現在,Cardio-Oncologyに関する国際的なガイドラインは4点ある。このうち欧州心臓病学会は,心疾患,冠疾患,生活習慣,がん治療の既往の4つを心毒性の危険因子として挙げている〔PMID:27567406〕。氏は,がん治療の既往が問診で明らかになれば,以前にアントラサイクリン系薬の投与や放射線治療を受けたかまで聞くことが欠かせないと語った。

 では,アントラサイクリン系薬の投与が心血管リスクに影響を及ぼす総投与量のカットオフ値はどこか。氏は米国臨床腫瘍学会が2017年に示した250 mg

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