医学界新聞

2019.07.08



第25回日本家族性腫瘍学会開催


 第25回日本家族性腫瘍学会学術集会が6月14~15日,「がんゲノム新時代」をテーマに掲げ,青木大輔氏(慶大),村上好恵氏(東邦大)の両会長のもとコングレスクエア日本橋(東京都中央区),他にて開催された。2018年にはがんゲノム医療中核拠点病院が指定され,19年6月からは遺伝子パネル検査の保険収載が開始となった。がんゲノム医療の基盤が整いつつあり,新たながん治療時代の到来が期待される。会長企画シンポジウム「がんゲノム新時代」(座長=東京医歯大・三木義男氏,岡山大大学院・平沢晃氏)では,がんゲノム医療の今後の課題が議論された。


がんゲノム新時代に向けて課題を整理

 荻島創一氏(東北大)はデータサイエンティストの立場から,臨床の場で得たゲノムデータ共有の必要性を強調した。国内外の臨床でゲノム医療が始まる中,臨床で得たデータの標準化は遅れ,検査機関や電子カルテにばらばらの形式でデータが蓄積される危険性があると指摘した。「ゲノムデータを標準化し集約・解析することで,未来の医療につなげることをめざす流れがある」と氏は話し,米国の医療情報標準規格であるHL7や国際標準化機構ISO,ゲノム情報等の国際的なデータ共有の基盤づくりをめざす国際協力組織GA4GHが共同して臨床のゲノムデータの標準化を進めていると解説。氏は「各施設でゲノムデータを蓄積する際は,国際的に使用できるよう標準化にも目を向けてほしい」と訴えた。

 がん遺伝子のバリアント情報をもとに治療法を選択することへの関心が高まり,コンパニオン診断としてのがんゲノム医療が発展した。井本...

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