心疾患患者のマラソンへの挑戦(松田拓朗)
寄稿
2018.10.01
【視点】
心疾患患者のマラソンへの挑戦
松田 拓朗(福岡大学病院リハビリテーション部/健康運動指導士)
米国ハワイで毎年開催されるホノルルマラソンは,世界的に有名なマラソン大会の一つです。ゴールまでの制限時間が設定されていない珍しい大会でもあります。1973年に創設された同大会の歴史をたどると,創設の発起人は「ホノルルマラソンの父」と呼ばれている循環器専門医Dr. Jack H. Scaff, Jr.を中心としたグループで,心疾患患者のリハビリテーション(以下,リハビリ)の到達目標としてフルマラソン完走を掲げたのが創設のきっかけと言われています(註)。
今も昔も制限時間が設けられていない大きな理由は,心疾患治療後のリハビリの目的が起源となっているからです。その他に,1973年に開催されたボストンマラソンでも7人の心筋梗塞後の患者が完走したとの記録が報告されています1)。
さて,心臓リハビリでは心肺運動負荷試験を実施し,個人ごとに一番適した運動強度を処方します。その方法は,1973年にWassermanらが提唱した嫌気性代謝閾値(AT)に基づいた運動処方を基本としています2)。ATとは安全かつ効果的な運動強度の指標であり,心疾患患者さんも安全に実施可能な運動強度です。
1979年にはFarrellらが,マラソンの平均走行速度と乳酸閾値(LT)強度の走行速度との間に高い相関関係があることを報告しています3)。この報告から...
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