医学界新聞

2018.09.24



産科混合病棟における看護の課題は
第22回日本看護管理学会の話題より


松浦正子学術集会長
 第22回日本看護管理学会学術集会(学術集会長=神戸大病院・松浦正子氏)が8月24~25日,「多様性をいかし新時代をひらく」をテーマに神戸ポートピアホテル,他(兵庫県神戸市)で開催され,5000人を超える参加者が集った。本紙では,シンポジウム「看護部長・看護管理者が対峙する院内に潜む倫理的課題――今産科混合病棟で起きていること」(座長=日看協・福井トシ子氏,千葉大大学院・手島恵氏)の模様を報告する。

病棟の課題を明らかにし,看護管理者の積極的な介入を

 産科単科病棟が世界標準である中,日本では分娩件数の減少等を背景に,産科単科での病棟確保が困難になり,病院における分娩の約8割が産科混合病棟で行われる。最初に登壇した齋藤いずみ氏(神戸大大学院)は,産科混合病棟で一人の助産師が産科と他科の患者を同時に受け持つケースが増えていると警鐘を鳴らした。氏は,タイムスタディ法を用いて助産師の看護・助産業務を可視化し,分娩と他科死亡患者に対する看護の時間的重複に注目して分析した。調査の結果,1年間の22件の死亡事例のうち14件で,分娩時の看護と重複していたという。他科患者の急変や死亡への対応が必要なため助産師が産婦への看護に専念できない状況が生じている可能性を指摘し,産科混合病棟での看護・助産の実態のさらなる可視化が重要と強調した。

 看護部長の立場から出井まち子氏(松下記念病院)は,同院の産科混合病棟での課題と改革の取り組みを話した。研究者...

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