医学界新聞

2018.07.16



第114回日本精神神経学会開催


 第114回日本精神神経学会学術総会が6月21~23日,米田博会長(阪医大)のもと「精神医学・医療の普遍性と独自性――医学・医療の変革の中で」をテーマに神戸国際会議場,他(神戸市)にて開催された。本紙では,職場のメンタルヘルス対策に関するシンポジウム「職場の健康管理における精神科産業医の役割」(司会=阪大大学院・工藤喬氏,横山・渡辺クリニック・渡辺洋一郎氏)の模様を報告する。

職場のメンタルヘルス向上に精神科医のさらなる活躍を

 冒頭,司会の渡辺氏が「産業界では今,メンタルヘルス対策へのニーズが非常に高まっている」と述べた。その理由に,メンタルヘルス不調者の増加の他,労働者の健康管理を経営課題の一つととらえ,健康維持・増進により生産性・業績の向上をめざす「健康経営」という考え方の浸透を挙げた。産業界では今後,精神科医の活躍の場が広がると予想されるが,職場のメンタルヘルス対策には特有のスキルが必要だ。本シンポジウムでは,産業医として多数の企業のメンタルヘルス対策にかかわってきた4人の精神科医が登壇し,精神科医に期待される役割や必要な知識について論じた。

 最初に神山昭男氏(有楽町桜クリニック)が,産業医業務における精神医学の重要性を述べた。メンタルヘルス不調が原因の休職者は他疾患に比べ著しく増加傾向にある。また,業務内外のさまざまな要因が絡み合い,複雑・多様な病態をとる。氏は,「力動的理解」,「精神療法的アプローチ」を駆使した事例を挙げ,精神医学的な支援の効用を紹介した。一方で,産業医の専門診療科は内科系が約6割,外科系が約2割に対し,精神科は約0.5割...

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