医学界新聞

2018.06.18



第59回日本神経学会開催


 第59回日本神経学会学術大会が5月23~26日,佐々木秀直大会長(北大大学院)のもと,「神経疾患の克服を目指して」をテーマに開催された(会場=北海道札幌市・ロイトン札幌,他)。本紙では,シンポジウム「神経内科医の燃え尽き症候群を防ぐために――バーンアウトしないためのTipsをシェアしよう」(座長=旭川赤十字病院・吉田一人氏,杏林大・海野佳子氏)の模様を報告する。

米国で注目集まる医療者のバーンアウト,日本でも早急な現状把握と対策を

 燃え尽き症候群(バーンアウト)とは,対人的サービスを提供する職種において,元来は活発に仕事をしていた人が「燃え尽きたように」意欲を失う状態を指す。仕事を通じて情緒的に力を出し尽くすことによる「情緒的消耗感」,情緒的資源の節約のための防衛反応として起こる「脱人格化」(クライアントへの思いやりを欠く紋切り型対応),理想と現実のギャップによる「個人的達成感の低下」の3要素で構成されるバーンアウト。医療者に起きた場合,心身の不調,離職など医療者自身への影響だけでなく,診療の質の低下や共感性の欠如といった患者への悪影響も懸念される。

 シンポジウムの冒頭,下畑享良氏(岐阜大大学院)が,企画の契機となった米国神経学会(AAN)の動きを紹介した。AANでは近年,神経内科医のバーンアウトを問題視し,学会員を対象とした調査や学術集会での教育プログラムなど,学会としての対策に乗り出しているという。2016年の調査では,回答した米国神経内科医の60.1%に何らかのバーンアウトの症状が見られた(Neurology. 2017[PMID:28122905])。また,神経内科医は他診療科医に比べてバーンアウトの頻度が高いとの報告もある(Mayo Clin Pr...

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