医学界新聞

2018.02.26



Medical Library 書評・新刊案内


看護学生スタートブック

藤井 徹也 著

《評 者》佐藤 美紀(愛知県立大准教授・基礎看護学)

学生の欲しい情報が詰まった心強い一冊

 本書には,看護学生が初期に得ておくとよい情報が詰まっています。基礎看護学の教員として長年教鞭をとり,たくさんの新入学生たちとかかわってきた著者ならではの構成で,必要な情報が満遍なく,わかりやすく書かれています。

 第1章では,高校までとは異なる履修登録や単位,3年または4年間のスケジュールについて,また,看護職に必要な能力について解説され,学生生活全体のイメージづくりができるようになっています。また,学生としてのマナーをチェックリスト形式で確認できるので,社会的にどのような振る舞いが求められているか,学生が自己評価することができます。

 第2章では,授業の受け方やノートづくり,グループワークへの参加の仕方やプレゼンテーションの方法などが具体例を交えて書かれています。

 第3,4章には,資料の検索と収集,レポート作成のほか,著作権への注意にも触れられています。いずれも詳細な解説書はさまざま出版されていますが,初めてこれらに取り組む学生に向けて,本書では最低限必要な内容が明確に示されており,これらを参考にすることで,プレゼンテーションやレポート作成のハードルが下がると思われます。

 第5章では,定期試験がどのように評価されるか,どう取り組めばよいか,第6章では,臨地実習について,臨地とはどこで,何を行うのかといった実習に臨む心構えが書かれています。試験や実習の内容・方法は学校によって異なりますが,筆記試験であれば丸暗記ではなく学習したことを関連付けて理解していくことの重要性,臨地実習に向けては自身の健康管理の一環としての感染予防などが示されており,学生が主体的に取り組み自己管理していく動機付けとなるでしょう。

 終章には,学年・学期ごとに目標設定を促す表や,卒業後をイメージしてみようという投げ掛けがあり,どのように学習を進め,自分の思い描く看護職に近づいていくかを考えることができます。学生生活のスタートに当たって,将来を見据えるのは大事なことです。ぜひ本書を活用してほしいと思います。すでに学生生活を送っている人にとっても,本書で再確認ができると,今後の学習がより充実するかもしれません。

 かく言う私は計画的に学生生活を過ごした者ではなく,本書を読む前は「看護学生を始めるためのガイドブック? 必要なのだろうか?」と思っていました。しかし読み進めるうちに,いろいろな場面で学生から「どうすればいいんですか?」と尋ねられたことや,受け取ったレポートの内容や...

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