MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2017.09.25
Medical Library 書評・新刊案内
シミュレーション教育の効果を高める
ファシリテーターSkills & Tips
内藤 知佐子,伊藤 和史 著
《評者》笠松 由利(兵庫医大病院看護部教育担当次長)
モチベーションアップや看護の質向上に役立つ
本書は,看護基礎教育だけでなく,看護師現任教育の場でも活発に行われているシミュレーション教育の中で最も重要な「シミュレーションファシリテーター育成」に焦点を当てた,著者の実践を基に書かれたものである。シミュレーションファシリテーターに興味を持ち,その役割の重要性は理解していても,具体的にどのようなスキルが必要なのかがわからない,あるいはスキルをうまく使いこなせず,自信を持って実践できていない看護師は多いのではないだろうか。本書はこれらのことを一気に解決してくれる。
シミュレーションに必須のChapter 1「シナリオ作成」に始まり,シミュレーション当日のChapter 2「ブリーフィング」,Chapter 3「セッション」,Chapter 4「デブリーフィング」でシミュレーション教育に必要なスキルについて,具体的にわかりやすく書かれている。
初学者は“既存シナリオを使いこなす”ことで,準備段階での疲弊を回避できるだろう。また,デブリーフィングガイド作成段階での失敗事例が紹介されており,ついやってしまいがちな言動にハッとし,日頃の自分自身を振り返るよい機会となるだろう。さらに“声掛けの仕方”や“良い例・悪い例”など,明日から使えるスキルが満載である。“成長には振り返りが大切”との考えで,ファシリテーターと共に研修での振り返りを欠かさない著者だからこその一冊である。
他方,本書にちりばめられた多くの理論が魅力である。組織行動学,教育学,心理学など,さまざまな理論を活用し,スキルの根拠を教えてくれる。理論を苦手とする臨床の看護師にもわかりやすく,「へえ~,そうなんだ!」と思えるものばかりである。教える立場にある看護師にとっては,自分の実践がさまざまな理論に基づいていることを知り,スキルの偉大さに驚くとともに,それを使いこなせたときの自身の成長を誇りに思うに違いない。さらに...
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