医学界新聞

対談・座談会

2017.08.07



【対談】

生産性向上のために医師事務作業補助者をどう活用するか

西澤 延宏氏(佐久総合病院・佐久医療センター副統括院長兼副院長)
矢口 智子氏(金沢脳神経外科病院診療支援部副部長/NPO法人日本医師事務作業補助研究会理事長)


 「患者サポートセンター」の仕組みは全国の病院から注目されている。西澤氏と矢口氏に,患者サポートセンターの導入方法や乗り越えた壁,そこで働く医師事務作業補助者の活用と業務内容の確立に向けた課題をお話しいただいた。


矢口 患者サポートセンターの仕組みには驚きました。医師事務作業補助者と看護師が緊密に連携し,相互に内容を確認するシステムができていますね。

西澤 ここまでに約10年かかりました。当センターのように予定入院患者ほぼ全員の入退院を一元的にマネジメントする病院はまだ少ないです。

矢口 西澤先生が患者サポートセンターの前身となる「術前検査センター」を立ち上げたきっかけは何でしたか。

西澤 東海大のPFM(Patient Flow Management)を見学したことです。当時,東海大では入院前に患者情報を得る部門を,看護師を中心に作っていました。その方法を参考に,医師事務作業補助者によるオーダー代行を当院独自に取り入れました。

成功事例を積み重ねる

矢口 どの病院でも,入退院管理に患者サポートセンターがあるほうが良いと感じます。実は,当院も2011年に同じような仕組みを作ろうと麻酔科医が声を上げたことがありました。でも,いまだにそのような仕組みは作れていません。

西澤 軌道に乗るまでが大変です。うまくいかなかった理由は何でしたか。

矢口 「他職種に任せるのは難しい」と考える医師が多かったことです。

西澤 医師は権限を他職種に委譲するのが苦手ですからね。しかし,他職種ができる仕事を医師が行うのでは,医師の負担が大きい上に,医師が指示を出さないと他職種が動けないという非効率的な体制になってしまいます。医師の意識改革が鍵になります。

矢口 佐久総合病院では,どのように受け入れられたのですか。

西澤 同院には2001年から「日帰り手術センター」があり,看護師に術前管理の一部を担ってもらうという考え方が外科医にはありました。それを広げる形で,入退院管理を他職種に任せる流れができていったのです。

矢口 術前管理を任せるメリットを感じやすい外科から始めたのですね。

西澤 ええ。さらに医師事務作業補助

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