MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2017.07.24
Medical Library 書評・新刊案内
《がん看護実践ガイド》
見てわかる
がん薬物療法における曝露対策
一般社団法人 日本がん看護学会 監修
平井 和恵,飯野 京子,神田 清子 編
《評 者》古川 裕之(山口大大学院教授・臨床薬理学/同大病院薬剤部長/臨床研究センター長)
抗がん薬取り扱い時の不安を解消できる
仕事の疲れを癒やすために,全国各地のひなびた温泉巡りをしている。訪れる温泉の多くは,無色透明,無臭のお湯が浴槽に注ぎ込んでいる。本当に天然温泉なのか,水を沸かしただけじゃないのか……と,心配になる。白色や茶色に濁ったお湯,硫黄臭のお湯に出合うと,安心する。におい(臭い・匂い)と色は,感覚器官を通して,人間に何らかの“気付き”をもたらしてくれる。注射用の抗がん薬は,粉末のものでも溶解すれば,ほとんどが無色透明。においはない。取り扱い中に,その一部が手指に付着しても,作業台に飛び散っても,気付きにくい。だから,不安になる。
長い間,抗がん薬のリスクは,投与される患者側の健康被害(主に,薬物有害反応)に焦点が当てられてきた。1980年代初め,米国の臨床薬学系雑誌で,抗がん薬を取り扱っている看護師の尿から正常より有意に高い濃度の変異原性物質が検出されたという論文を見て,抗がん薬を取り扱う医療スタッフ側にもリスクがあることを知った。その後,抗がん薬の混合調製から投与に関係する医療スタッフの健康被害が注目されるようになり,さらには,抗がん薬投与を受けている患者の排泄物中に含まれる,あるいは,内部と外部から衣服に付着した抗がん薬(とその代謝物)への暴露にまで,注意の範囲が広がっている。
医療スタッフである以上,「抗がん薬は危険(Hazardous Drugs:HD)である !!」として,抗がん薬に触れない,あるいは,抗がん薬投与中の患者には近づかない……というわけにはいかない。となると,抗がん薬暴露時の危険性,あるいは,暴露を最小限にするための対策を十分に理解することが必要になる。
看護師を対象にまとめられた本書は,「実際にどうすればよいのかを具体的に知りたい !!」という看護師の不安に応えるために,写真やイラストを多く使用して具体的な対策について説明している。また,個人防護具(Personal Protective Equipment:PPE)の着脱,バックプライミングの方法や抗がん薬のスピル(こぼれ)処理などの基本的な技術につい...
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