医学界新聞

2017.07.17



第18回日本言語聴覚学会開催


竹内茂伸学会長
 第18回日本言語聴覚学会(学会長=山陰言語聴覚士協会会長/錦海リハビリテーション病院・竹内茂伸氏)が6月23~24日,「地域に開かれた,地域に愛される,地域に信頼される言語聴覚士になる。――地域包括ケアに求められる言語聴覚士の役割」をテーマに,くにびきメッセ(松江市)で開催された。本紙では,シンポジウム「地域包括ケアに求められる言語聴覚士の役割」(座長=竹内氏,島根県言語聴覚士会会長・門脇康浩氏)の模様を報告する。

各協会会長が考える,言語聴覚士に求められる役割とは

 初めに登壇した半田一登氏(日本理学療法士協会会長)は,地域包括ケアの推進にはリハビリテーション技術“Hands-on skills”に加え,多施設・職種間の情報提供などの“Hands-off skills”が求められると述べた。また氏は,市町村と連携した介護予防活動などの理学療法での取り組みに触れ,言語聴覚療法でも地域に根ざした同様の取り組みを進めるべきと提案した。

 続いて日本作業療法士協会会長の中村春基氏は,高齢者に限らず「地域で住みにくさを感じている全ての人を支えるのが地域包括ケアである」と指摘し,退院後の患者の生活をイメージした支援が重要だと述べた。そのためには病院やリハビリ室にとどまるのではなく,積極的に地域に出向き,生活全体を支える姿勢を持つべきだと訴えた。

 言語聴覚士が対象とするコミュニケーション障害,摂食・嚥下障害への支援は高齢化に伴い需要増大が続く。深浦順一氏(日本言語聴覚士協会会長)は,社会の要請に比べ言語聴覚士の数は不足していると述べ,数を補うには一人ひとりの総合的評価力・マネジメント力の向上が必要との見解を示した。

 最後に全国デイ・ケア協会会長の斉藤正身氏が,自身が理事長を務める医療法人真正会での言語聴覚士の活動を紹介した。おいしいスープを病棟で作り,良い匂いや食べる喜びを患者と共有する「スープの会」,高齢者・障害者やその家族らと言語聴覚士との交流の場となる「STカフェ(Café Smile Times)」をこれまでに開催したという。今後も言語聴覚士の専門性を生かして,コミュニケーションや食べることの喜びを患者や地域住民に提供していきたいと締めくくった。

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