第8回日本PC連合学会学術大会開催
2017.06.12
第8回日本PC連合学会学術大会開催
第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会(大会長=きたじま田岡病院/徳島大・板東浩氏)が5月13~14日,「総合診療が拓く未来――地域に新たな架け橋を」をテーマにサンポートホール高松,他(高松市)にて開催された。本紙では,医学部地域枠および総合診療専門医に関するシンポジウムの模様を紹介する。
写真 シンポジウム「地域枠と総合診療」 |
地域枠入学制度と総合診療
医学部入学定員は2009年度から順次,地域枠を主体とした増員が図られるようになった。定員に占める地域枠の割合は,16年度に17.5%(1617人)に達している。地域枠入学者が専攻医として後期専門研修に進むのに際して,地域への定着を図るためには総合診療専門医の育成が鍵となるだろう。シンポジウム「地域枠と総合診療」(座長=長崎大大学院・前田隆浩氏,高知大・阿波谷敏英氏)では,行政,大学専攻医,それぞれの立場から地域枠入学制度と総合診療について考察した。
最初に登壇した角芽美氏(島根県立中央病院)は島根県の隠岐島出身。地元の高校を卒業後,地域枠で島根大医学部に進学した。初期臨床研修の経験から「出身地域での医療に従事するには総合的に診るスキルが必要」と痛感し,後期研修は総合診療専門研修を選択したという。へき地で医師がキャリアを形成する上では,「基幹病院との連携や代診医を利用しやすい環境づくりが重要」と指摘した。
松本正俊氏(広島大)は,地域枠入学制度のアウトカムについて分析した。全国地域医療教育協議会・全国医学部長病院長会議の調査によれば,地域枠入学者の医師国試合格率およびストレート卒業率は,一般医学生よりも高い。また,大学病院を基幹とする総合診療専門研修プログラムの多くが地域枠入学者の受け入れを想定していることに言及。「地域枠入学→総合診療専門医取得→地元の地域医療に貢献」というシステムの構築が重要であるとの見解を示した。
県と連携した地域枠入学者育成の取り組みについては,岡山雅信氏(神戸大大学院)が報告。取り組みの基本として,医学生・初期研修医に対する地域医療マインドの醸成のほか,専門研修以降の医師を育成・支援する仕組みも必要であると強調した。兵庫県では神戸大とも連携して,義務年限終了後のキャリアを支援する担当部署を今年度から設置。「契約期間(義務年限)終了後も安心して働ける職場の提供」を最重要課題に掲げた。
行政の立場からは吉川裕貴氏(厚労省)が登壇。「遠隔地・地方での医療従事者確保のためのWHOガイドライン」(2010年)では,地方出身学生の受け入れが「エビデンスレベル中等度,強い推奨」とされていることを紹介。また,総合性の高い科の医師はへき地...
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