医学界新聞

2017.04.24



2016年度保助看国家試験合格発表

保健師,助産師,看護師いずれも合格者数は昨年度に比べ減少


 厚労省は3月27日,2016年度の第103回保健師国家試験,第100回助産師国家試験および第106回看護師国家試験の合格者を発表した。

写真左 発表開始直後,列を成す関係者
写真右 受験番号を照合する受験者たち=いずれも東京・厚労省にて

 合格率は,保健師90.8%,助産師93.0%,看護師88.5%。看護師国家試験の合格率は第95回(2005年度,88.3%)以来の低さとなり,合格者数は昨年を下回った。保健師,助産師とも合格者数は昨年度に引き続き減少し,助産師の合格者数は7年ぶりに2000人を割り込んだ。学校区分による合格状況は本紙2面に示す。採点除外等となった問題については,保健師国家試験で5問,助産師国家試験で1問,看護師国家試験では8問だった。

 合格発表会場の一つとなった東京・厚労省講堂には,受験者やその家族,学校関係者,病院関係者らが詰め掛けた。発表時刻の14時を過ぎると,会場のあちこちで,友人と手を取って喜びを分かち合い,記念撮影をする姿が見られた。取材に応じた女子学生は,「緩和ケアに興味がある。入職後は患者さんから一つでも多くのことを学んでいきたい」と笑顔で抱負を語った。

 神奈川県内の看護学校の教員は看護師国家試験問題について,「五肢二択問題が出題された他,読解力や臨床判断を問う,暗記では対応できない出題が多かった」と出題傾向の変化に触れ,「国家試験の傾向に合わせ,集中して長文を読み解く力を鍛えることを意識して授業や学内試験を組み立てたい」と教育者の立場から指導の工夫に意欲を示した。

 保助看国試合格者数・合格率の推移


第106回看護師国家試験の出題傾向分析

斉藤 由美(東京アカデミー東京校 講師)

◆必修問題について

 過去問にない単語が出題されたので難しく感じたかもしれないが,「AM 10ヒューマンエラー」は医療従事者として持っておいてほしい知識であり,「PM 3光化学オキシダント」の原因物質は知っておくべきである。関係法規,社会保障の問題は新問が多かったが難易度は普通であり,解剖生理・基礎看護は例年通りであった。

◆一般問題について

 第104回以降,過去問のみの学習では厳しくなっており,その傾向は顕著になっている。初見の問題で高正答率を得るには,知識と思考力を鍛える必要がある。以前より出題されていた3~5行ほどの臨床に則した出題がAM 12問・PM 7問と増加した。問題文中にキーワード(重要事項)が増え,複数のキーワードを見つけ出し,関連付けて正解を導かなければならないため解答に時間はかかるが,「状況把握」と「看護師として何をするか」を問われているだけである。また,「AM 66脊髄損傷」「AM 80左上腕骨顆上骨折」など,整形外科分野からの出題も見られた。「PM 40関節リウマチの自助具」は2016年2月の医道審議会の議決(出題基準改定方針)を踏まえた,在宅医療での看護技術や医療用具および住宅改修等を扱う新傾向問題の一つと言える。関係法規は制度改正を間近に控える介護保険は出題減となった。「PM 46就業構造基本調査」「PM 67食品衛生法他」等は今まで出題されたことのない統計や法律であり,幅広い学習が求められる。

◆状況設定問題について

 例年AM,PM各10症例だったものが...

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