医学界新聞

2017.04.03



第44回日本集中治療医学会開催


 第44回日本集中治療医学会学術集会(会長=北大・丸藤哲氏)が3月9~11日,「集中治療と集中治療医学」をテーマに,札幌プリンスホテル(札幌市),他にて開催された。本紙では,15年ぶりに改訂された敗血症の新定義をめぐる教育講演およびシンポジウムの模様を報告する。


シンポジウム「SIRSは死んだのか?」
 2016年2月,第45回米国集中治療医学会において敗血症の新たな定義(Sepsis-3)が発表された。国際的には日本救急医学会・日本集中治療医学会を含む31学会から承認を得たものの,その臨床的意義は十分に検証されておらず,批判の声も根強い。教育講演「新sepsis診断基準(Sepsis-3)の問題点と検証――Sepsis-3は何をもたらし,何を失うのか?」では,小倉裕司氏(阪大)がSepsis-3の臨床面における影響と課題について考察を加えた。

 冒頭に,Sepsis-3の変更点として,①敗血症の診断基準からSIRS基準を除外,②敗血症の診断に「SOFAスコアの推移」を採用,③敗血症の重症度を従来の重症敗血症まで引き上げ,④敗血症性ショックの診断基準に血中乳酸値を追加(必須項目),⑤敗血症の新たなスクリーニングシステムとしてqSOFAを推奨,の5点を提示した。各項目について変更の経緯や検証課題を概説する中で,④については「臨床現場で必ずしも乳酸値が迅速に測定できるとは限らない」と指摘。「敗血症性ショックの診断ができない,あるいは遅れるなどの可能性があり,グローバルな診断基準として適切か」と疑問を呈した。

「低体温」はqSOFAとは独立した在院死亡リスク因子

 続くシ...

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