第44回日本救急医学会開催
2016.12.19
敗血症ガイドライン,五輪医療体制
第44回日本救急医学会開催
第44回日本救急医学会総会・学術集会(会長=日医大大学院・横田裕行氏)が11月17~19日,グランドプリンスホテル新高輪・国際会館パミール(東京都港区)にて,「挑戦」をテーマに開催された。本紙では,シンポジウム「日本版敗血症診療ガイドライン2016」(司会=千葉大大学院・織田成人氏,阪大病院・小倉裕司氏),「東京オリンピック・パラリンピック競技大会のあるべき医療体制へ向けて」(司会=国立病院機構災害医療センター・小井土雄一氏,杏林大・山口芳裕氏)の模様を紹介する。
日本版ガイドライン作成の意義
横田裕行会長 |
日本独自の治療法などを考慮し,日本救急医学会と日本集中治療医学会が合同で作成を進めている「日本版敗血症診療ガイドライン2016」(GL)作成特別委員会委員長の西田修氏(藤田保衛大)は,日本独自のGL作成の意義を以下4つ述べた。①GL作成やシステマティックレビュー(SR)ができる人材の育成,②領域ごとにエビデンスの有無を明示することによる,新たな臨床研究課題の明確化,③人材ネットワークを有機的につなげることによる,多施設RCTなどを行う土壤の構築,④SRなどを通して新たに見いだされたエビデンスの論文化による,救急・集中治療領域の資産作成。すでに複数の論文が国際学術誌に掲載,あるいは掲載予定だという。
今回のGLは2016年2月に発表された敗血症の新たな定義「Sepsis-3」(3169号参照)に準じ,SOFAスコアおよびqSOFAスコアが採用される見込みだ。
GLは新たに8領域を含む全19領域を収載。中でも,ICU退室後の長期予後に焦点を当てた「PICS/ICU-AW」は,欧米のガイドラインにはまだ入っていない全く新しい領域だ。GL作成委員会PICS/ICU-AW班の井上茂亮氏(東海大)は,敗血症生存者の3分の1にADL障害があること,6か月後にADL障害がある敗血症生存者の半数が1年以内に死亡または障害が残存することを指摘した。電気筋刺激と早期リハビリテーションという2種の介入について,ICU-AW発症率の低下傾向や筋力量増加傾向があったものの有意差はないことから,「電気筋刺激は実施しないことを推奨」,運動機能を有意に回復し,人工呼吸器装着時間を短縮するが,生活の質・精神状態については有意差が見られないことから,「早期リハビリテーションは弱く推奨」する方針を示した。
「体温管理」は,久志本成樹氏(東北大)が報告。敗血症時の発熱には,侵入微生物の増殖抑制・...
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