医学界新聞

2016.12.12



医療安全の過去と現在,そして未来

第11回医療の質・安全学会開催


 第11回医療の質・安全学会学術集会(会場=千葉市・幕張メッセ国際会議場)が2016年11月19~20日,井部俊子大会長(聖路加国際大)のもと「医療の質と安全のあいだ」をテーマに開催された。今学会での新たな試みとして,patient safety framework for albertansに基づき,5つのブロック(①ガバナンスとリーダーシップ,②安全管理活動・対策,③人とチーム,④環境と道具,⑤患者・家族の関与)と26のカテゴリーを設け,一般演題が募集された。本紙では,医療安全学の第一人者による特別講演の模様を報告する。


井部俊子大会長
 特別講演「Patient Safety:Past, present and future」には,医療安全を学問として体系化し,『Patient Safety』(邦訳『患者安全』,篠原出版新社)などの著書でも知られるチャールズ・ヴィンセント氏(オックスフォード大)が登場した。

 ヴィンセント氏は心理学者として英国NHSで経験を積んだ後,1990年代半ばからリスクマネジメントに取り組み始める。当時は「全く新しい分野をつくるようなもの」だったというが,「患者安全は単なる法的問題ではなく,個人の権利」という世論が醸成されつつあった。世界中の研究者と手を組み,他産業を参考にしながらインシデント報告の分析手法を確立。やがてBMJなどの医学雑誌が医療安全を重要な...

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