ジェネラリストのための極意開催
2016.10.10
ジェネラリストのための極意
獨協医大病院総合診療科(以下,獨協総診)による勉強会「ジェネラリストのための極意(通称G7+)」の第1回が8月28日に東京都内で開催された。
写真 「G7+」を主宰する志水太郎氏 |
臨床医のコンピテンシーを育てるHow to
第1回目となる今回の勉強会では,始めに❶臨床知識のアップデートと❹インプットのスキルを複合した「スタッフの生涯学習のためのIT活用方法」が森永康平氏(獨協総診)から解説された。多くの医師が情報収集のためにメーリングリストやEvernote,Dropboxなどのクラウドシステムを活用しているが,ただ“情報を収集・蓄積すること”が目的になってはいけないと氏は指摘した。自ら学習したものこそが血肉となることは間違いなく,必要な情報をすぐ引き出せるようにするためには,自分の頭の中で整理し,アウトプットの取っ掛かりをつくっておくことが必要だと話した。
❺アウトプットのスキルの1つである「医師によるケースレポートの作成指導」のセッションは廣澤孝信氏(獨協総診)が担当した。症例報告の概要から,Clinical pictureの考え方・作り方,NEJMのClinical pictureへの投稿方法まで,実践的な解説がなされた。氏はケースレポートを書くことを意識しながら症例を診たり,写真などの記録を残したりすることで,臨床における洞察力の向上も得られると,ケースレポート作成の意義を語った。
❻後輩への教育力は「教育力を鍛える秘訣」と題して志水太郎氏と原田拓氏(共に獨協総診)が紹介した。臨床力,教育力,研究・アウトプット力の向上はキャリアのステップアップにつながる。しかし経験年数が増えるにつれ,後輩の面倒をみたり組織の管理を行ったりする時間が増え,医師として患者を直接診察できる時間が減っていくというジレンマもある。志水氏は,自分の臨床を担保しながら教育をしていくには,教育と臨床を同時に行うベッドサイドティーチングが最適だという持論を示した。原田氏は「効果的学習のFAIR原則」を基に,ベッドサイドティーチングにおける効果的学習を実現するための方法を詳細に解説。「後輩指導医が研修医などを指導する現場を見て問題を感じたとき,指導医をどのように教育すべきか」という参加者からの質問に対しては,志水氏が自身の経験や自著『愛され指導医になろうぜ』(日本医事新報社)に基づいた3つの方法を紹介した。参加者からは,「ベッドサイドティーチングの重要性を感じた」「褒め上手になることから実践していきたい」などと実践に生かす意欲が聞かれた。次回第2回では,カンファレンスの進め方,フィジカル回診の具体的方法,ケースレポート作成,総合診療医のキャリアなどについて取り扱う予定だという(獨協総診のホームページ)。
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