医学界新聞

インタビュー

2016.07.11



【interview】

内科と総合診療,どちらを選ぶ?


 内科専門医および総合診療専門医の魅力や研修プログラムの特徴は?研修医の不安の声に学会としてどう応えるか? 日本内科学会の横山氏,日本プライマリ・ケア連合学会の草場氏に聞いた。

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内科医の活躍の場はさらに拡大していく

横山 彰仁(高知大学医学部附属病院 病院長/日本内科学会 認定医制度審議会会長)


――内科専門医制度改革の経緯から教えてください。

横山 複数の疾患を有する患者が増える超高齢社会において,ジェネラルな素養を持つ内科医がますます求められること,また6~8年の研修を要する現行の総合内科専門医を1階とするのは厳しすぎること,以上2点から内科専門医制度を再構築する必要が生じました。卒後5年の研修としたのは,専門医機構から各基本領域3年以上の研修が課せられており,制度上,標準化されているためです。

――認定内科医に関しては,かねてから問題点も指摘されてきました。

横山 新医師臨床研修制度導入の際,初期研修の2年間を認定内科医の研修期間に組み入れたことで,資格取得に必要な研修期間は従来(36か月)の半分(初期研修6か月+内科12か月)になりました。研修の場も専門科に偏ったり,併存症を主とした提出サマリーが散見されるなど,ジェネラルな研修には不十分でした。

――ただ,内科専門医取得後にサブスペシャルティ研修2~3年は「長すぎる」という声も,研修医から聞かれます。

横山 しかし実際にデータを取ってみると,卒後7年目までにサブスペシャルティ専門医を取得しているのは男性で1~2割,女性で2~3割です。おそらく,専門医の取得時期が個々人の判断に委ねられていたからでしょう。新制度はプログラム制ですから,修了年限のうちに専門医を取得できるよう,指導医が専攻医をサポートする義務が生じます。むしろ,専門医の取得時期が早まるかもしれません。

 もちろん,キャリアパスの個別性に配慮は必要です。現在は,所定の修了要件を満たすことを条件に,内科とサブスペシャルティの並行研修を認めるなどの弾力的な運用を関連学会と共に検討しているところです。

――臓器別専門病棟のローテーションを繰り返すだけにならないでしょうか。

横山 従来の反省から「主病名で主担当医として経験を積む」カリキュラムの整備にこだわりました。内科学会で開発した専攻医登録評価システム(Web版研修手帳)を用いて症例登録・評価を行うことで,研修状況が可視化されます。初期研修の延長のような“お客さま扱い”の研修にならない仕組みをめざしています。

 また,従来の大病院単独研修を見直し,参加施設数が1194から2875(基幹施設523+連携施設1266+特別連携施設1086)へと2.4倍になりました。新たに参加する施設の大半は200床以下の中小病院となる見込みです。これらの病院はジェネラルな内科研修には最適な場となります。

――専門医取得のハードルが上がり,内科を敬遠する研修医も出てくるかもしれません。

横山 従来の総合内科専門医ほどの高いハードルを設定しているわけではありません。認定内科医と総合内科専門医の中間ぐらいと考えてください。認定医資格と比べれば確かに研修期間は延びますが,国民の視点でみれば,質の高い医療の提供のために一定の研修期間が必要なのは当然のことです。

 それにもともと認定内科医は,広告可能な専門医資格ではなく,内科学会内部の資格にすぎません。標榜できる内科専門医という意味では,総合内科専門医と比べると研修期間が短縮されたとも考えられるわけです。また,最短でのサブスペシャルティ専門医取得を視野に入れた専攻医への配慮も,進めていきたいと思います。

――新・内科専...

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