2年目研修医のための 新専門医制度ガイダンス
寄稿
2016.06.13
【特集】
2年目研修医のための新専門医制度ガイダンス
2017年4月のスタートに向けて,新専門医制度の下での専攻医募集が始まる。地域医療への影響が懸念されるなどの理由で延期を求める声はいまだ根強いものの,研修医の立場としては万全の準備をしておきたいところだ。本紙では,当該の2年目研修医に向けて,実際の応募フローに基づく注意点や現在検討中の事項について解説する(関連インタビュー)。
臨床医を生涯続けるならば基本領域専門医の取得を
新専門医制度は,19の基本領域で構成される「基本領域専門医」と,基本領域専門医の取得後に選択できる「サブスペシャルティ領域専門医」の二段階制となる(図1)。いわゆる“二階建て構造”だ。これまでの専門医制度は各学会が独自に運用していたが,新制度下では中立的な第三者機関である日本専門医機構(以下,専門医機構)によって,専門医の認定と研修プログラムの評価・認定が統一的に行われるようになる。
図1 新専門医制度の基本設計 |
(註:サブスペシャルティ領域の内訳は未定) |
臨床医を生涯続けるならば,“どこかのタイミング”で,“いずれかの基本領域専門医”を取得しておいたほうがよいだろう。医師免許を取得すれば原則どの診療科も標榜できるという「自由標榜制」が将来的には見直され,新専門医制度と関連付けられる可能性があるからだ1)。
まずは専攻医登録を忘れずに,応募は1プログラムに限定
研修プログラムの応募フローは図2のとおり。以下,各Stepにおける留意点を解説する。
図2 研修プログラム応募フロー |
(註:日程は大幅な変更があり得る。専門医機構のWebサイトを適時確認のこと) |
Step❶専攻医登録
新専門医制度下の研修プログラムに応募する研修医は,まず専攻医登録を済ませる必要がある。専門医機構の専攻医登録サイトにアクセスし,在籍中の臨床研修プログラムや医籍登録番号,メールアドレスなどを入力する。「希望する専攻診療領域」の入力も求められるが,これは専門医機構による予備調査を意図したものであり,一次募集応募の段階で変更してもよい。
専門医機構は「専攻医に入る時期はフレキシブルに対応する」としており,研究活動や海外留学に専念するために専攻医登録を当面の間は見送るという選択肢はあり得る。ただ,「登録だけ済ませて応募段階で見送る(その場合は来年度以降に再度登録し,応募する)」ことも可能なので,迷うようなら登録だけは済ませておこう。また,臨床研修の修了時期がずれ込む予定の研修医が2017年度を専攻医として迎えるための措置も検討されている(インタビュー参照)。
Step❷プログラム閲覧
専門医機構および各領域の学会Webサイトに,19領域の研修プログラムが掲載される。この段階で希望する基幹施設のリストアップを開始し,見学スケジュールの調整を始めたい。
研修プログラムの審査は一次と二次に分かれており,一次審査が終了した6月中にも一部の情報が先行開示される見込みだ。二次審査は募集定員数の調整や連携施設の追加などが主眼であり,一次審査で承認されたプログラムが二次審査を通らない可能性は低いと思われる。
Step❸一次募集に応募
専門医機構の専攻医登録サイトから一次募集に応募する。希望順位表を提出する臨床研修マッチングとは異なり,「応募は1領域の1プログラムに限る」ことに留意したい。プログラムごとの応募状況は,締め切り期日まで確認することができる。時々刻々と変化する倍率を注視...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。
いま話題の記事
-
医学界新聞プラス
[第1回]心エコーレポートの見方をざっくり教えてください
『循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.04.26
-
医学界新聞プラス
[第3回]冠動脈造影でLADとLCX の区別がつきません……
『医学界新聞プラス 循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。』より連載 2024.05.10
-
医学界新聞プラス
[第1回]ビタミンB1は救急外来でいつ,誰に,どれだけ投与するのか?
『救急外来,ここだけの話』より連載 2021.06.25
-
医学界新聞プラス
[第2回]アセトアミノフェン経口製剤(カロナールⓇ)は 空腹時に服薬することが可能か?
『医薬品情報のひきだし』より連載 2022.08.05
-
対談・座談会 2025.03.11
最新の記事
-
対談・座談会 2025.04.08
-
対談・座談会 2025.04.08
-
腹痛診療アップデート
「急性腹症診療ガイドライン2025」をひもとく対談・座談会 2025.04.08
-
野木真将氏に聞く
国際水準の医師育成をめざす認証評価
ACGME-I認証を取得した亀田総合病院の歩みインタビュー 2025.04.08
-
能登半島地震による被災者の口腔への影響と,地域で連携した「食べる」支援の継続
寄稿 2025.04.08
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。