第18回日本医療マネジメント学会開催
2016.05.23
医師事務作業補助者の役割を問う
第18回日本医療マネジメント学会開催
第18回日本医療マネジメント学会学術総会が4月22~23日,田中二郎会長(飯塚病院名誉院長)のもと「明るい病院改革――改善とイノベーションで切り拓く明日の最適医療」をテーマに福岡国際会議場,他(福岡市)にて開催された。本紙では,導入施設が右肩上がりの増加を続けている「医師事務作業補助者」の役割について議論されたシンポジウムの模様を報告する。
田中二郎会長 |
翌08年度の診療報酬改定においては,勤務医の負担軽減を目的に「医師事務作業補助体制加算」を新設。医師事務作業補助者の業務として,①文書作成補助(診断書・指示書・意見書など),②診療録の代行入力(診療録記載,オーダリング作業),③医療の質の向上に資する事務作業(データ整理,カンファ準備など),④行政上の業務(救急医療情報システムの入力など)が位置付けられることになった。
診療報酬新設から8年,業務標準化と質向上に向けて
加算の届け出数は08年の730施設に始まり,現在は2500施設を超える。16年度診療報酬改定においても点数の引き上げや要件緩和が盛り込まれており,当面は増加傾向が続く見込みだ。 シンポジウム「医療の質向上のために医師事務作業補助者の果たすべき役割」(座長=松本市立病院・中村雅彦氏)の冒頭では,座長の中村氏が今回のシンポジウムの趣旨を説明。「今や医師事務作業補助者は病院にとって不可欠な存在であり,他業種との役割分担や連携も進んでいる」と評価した上で,「診療報酬の新設から8年を経て,次のステージを考えるべき時期」と提言した。
さらに氏は,“質の高い事務作業補助”の提供に向けて,①インシデント/アクシデント事例の分析,②インシデント/アクシデントを防ぐ対策,③標準化された業務を提供するための方策,を論点として提示した。これらについて,日本医療マネジメント学会が行っている講習会の現状を説明するとともに,自施設での取り組み事例を紹介。今年度からは,院内の医療安全管理委員会のメンバーに医師事務作業補助者を入れたことを明らかにした。
医師事務作業補助者の矢口智子氏(浅ノ川金沢脳神経外科病院)は,実務者の立場から現状と課題を述べた。病院の特性や規模によって業務内容が多様化・高度化しており,医師事務作業補助者のスキルに差が生じていることを指摘。質の管理には業務の標準化が不可欠であり,業務マニュアルの整備やリーダー育成,組織内での医師事務作業補助部門としての...
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