2015年度保助看国家試験合格発表
2016.04.25
2015年度保助看国家試験合格発表
看護師国家試験の受験者数と合格者数は過去最多
厚労省は3月25日,2015年度の第102回保健師国家試験,第99回助産師国家試験および第105回看護師国家試験の合格者を発表した。
写真左 受験番号を照合する受験者 写真右 自分の番号を見つけ笑顔の合格者たち=いずれも東京・厚労省にて |
合格率は,保健師89.8%,助産師99.8%,看護師89.4%で,いずれも前年を下回った。保健師は2012年度の入学者から多くの大学で選択制が導入されたため受験者数が減少し,今年の合格者数は前年に比べ半減,10年ぶりに1万人を割った。学校区分による合格状況は本紙6面に示す。
保健師国家試験では「複数の正解がある」という理由により,複数の選択肢を正解として採点した問題が1問あった。看護師国家試験では,「選択肢に正解がない」との理由で採点対象から除外された問題が3問,「設問文が不明瞭で複数の選択肢が正解と考えられる」として,複数の選択肢を正解として採点する問題が1問あった。
合格発表会場の一つとなった東京・厚労省講堂には,受験者やその家族,学校関係者,病院関係者らが多数詰め掛け,発表時刻の14時前から講堂内に列をつくった。14時になると前列から一斉に,合格番号の記された資料と自分の受験番号を照合し,会場にはあちこちで友人と手を取って喜びを分かち合ったり,記念撮影をしたりする姿が見られた。取材に応じた看護師国家試験合格者は,「早く一人前の看護師になりたい」と笑顔で抱負を語った。
都内の看護専門学校の教員は試験問題について,「状況を設定した問題が一般問題にも見られるなど,出題傾向に変化があった」と振り返った上で,「地域や在宅に視点を置いた問題設定も増えてきた。実習を通じて,より臨床を意識して教えていきたい」と早くも次に向けての課題を語った。
表 保助看国試合格者数・合格率の推移 |
第105回看護師国家試験の出題傾向分析
斉藤 由美(東京アカデミー東京校 講師) ◆必修問題について 関係法規・社会保障の問題は難化したが,解剖生理・基礎看護は例年通り。「AM 3:業務上疾病の発生頻度」は,これまでなら「腰痛」が正答肢であったが,今年は「負傷に起因する疾病」が正答肢となった。このように,過去問の暗記のみでは厳しい問題も増えている。また,「AM 15:血糖コントロール指標→グリコヘモグロビン」のように過去に出題されたことがない単語への正答率も低い。一方,「PM 2:国民健康・栄養調査」は近年毎年出題されているので,熟知している必要がある。 ◆一般問題について 昨年も過去問の丸暗記では難しい出題があったが,今年はさらにその傾向が強くなっている。「AM 26:筋小胞体からCaイオン」「AM 27:吻合のない血管は冠動脈」は解剖生理学では常識だが,近年出題されていなかった。関係法規・公衆衛生の問題が増加しており,しかも保健師国試で出題されるような問題もあった[食品衛生法(PM 33),地域子育て支援センター(AM 34),就労支援(PM 59)等]。現在の国の政策に目を向けて教育する必要がある。 視覚教材問題の,「AM 31:生体の代謝→PET」には驚かされた。今後は検査名と画像だけでなく,検査の仕組みも教育しておく必要がある。看護の統合と実践は昨年同様,出題基準別に満遍なく出題された。「AM 66:災害時糖尿病患者への指導」は,複数の選択肢が正解とされたが,現場状況に合わせた対応が必要であり,学生にとって難しい問題だった。その他,「AM 46:悪性高熱症」「AM 51:栄養サポートチーム(NST)」「PM 31:感染性因子」等,新しい言葉や過去問にない言葉が選択肢にあると学生は難しいと感じたようである。 ◆状況設定問題について AM 91,PM 91では主訴および検査データより状態を把握する問題が出題された。過去問では主訴等から疾患が確定できたが,今回は検査データから判断する問題もあった。また,「PM 92:入浴ではなく清拭にした理由」等,「思考力」「アセスメント力」を問う問題が難化および増加している。第101回以降,解剖生理から疾患の病態を考え,患者に何をすべきか,一連の流れを理解していることが必須になっている。さまざまな知識をリンクさせて思考し,解答できるように教育することが重要である。 |
2015年度保助看国試の合格基準 | |
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■2015年度保助看国家試験合格者状況
第102回保健師国家試験合格状況 |
第99回助産師国家試験合格状況 |
第105回看護師国家試験合格状況 |
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