医学界新聞

2016.04.04



金原一郎記念医学医療振興財団

第30回研究交流助成金・第30回留学生受入助成金贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)が,3月9日に医学書院(東京都文京区)にて,第59回認定証贈呈式を開催した。

 同財団は,基礎医学の振興を目的に,年に2回,助成金を交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。今回の助成対象者は29人で,対象者を代表して贈呈式には竹内純氏(東大分子細胞生物学研究所),他5人が出席した。

 開会に際し,金原優同財団常務理事(医学書院代表取締役社長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された同財団の概要を紹介。「実際に海外へ行き,海外の先生方と研究テーマについて活発な議論をすることは大変意義深い。今回の受賞が,現在の研究をさらに良いものへと結び付けていく一助になればうれしい」と語った。

 認定証の贈呈後,選考委員長を務める野々村氏が選考過程について説明。資金の確保が困難になっている近年の基礎医学研究の状況に触れ,「助成金を有効に使い,今後も研究に励んでほしい」と出席者を激励した。

 続いて交付対象者を代表して竹内氏があいさつに立った。氏らは,心臓の発生過程において未分化細胞の運命がどのように決定され,分化へと転じていくかに関する研究に取り組んでおり,その中で特定の制御因子に着目。細胞自身が持つ可塑的・可逆的機構について,少数の細胞がストレス下において心筋へと分化することが判明したという。この分化に先んじてバイオマーカーとなる因子を同定することで,細胞の可逆的機構が明らかとなる可能性があると話した。氏は,「今後も基礎生物学と医学の橋渡しとなるような研究成果を出せるよう,さらに邁進していきたい」と意気込みを語った。


●金原一郎記念医学医療振興財団

第30回研究交流助成金・留学生受入助成金交付対象者

No. 氏名 所属機関(略称) 助成対象
1 朝倉 こう子 循環器病セ/研究開発基盤センター 先進医療・治療推進部DM統計室 37th Annual Meeting of Society for Clinical Trials
2 朝倉 崇徳 慶大/呼吸器内科 米国胸部疾患学会2016
3 岩下 雄二 長寿研/老化機構研究部 コールドスプリングハーバーミーティング,老化の仕組み
4 金廣 優一 島根大/微生物・免疫学講座 第17回EBV及びEBV関連疾患の国際シンポジウム
5 川久保 和道 北大/内科学講座消化器内科学 世界分子イメージング会議
6 古川 孝広 国立がん研東病院/先端医療科/乳腺腫瘍内科 米国がん研究会議
7 後藤 聡 理研/多細胞システム形成研/網膜再生医療研究開発プロジェクト 2016年度視覚と眼科学研究協会会議
8 佐藤 冬樹 和歌山医大/病理学講座 アメリカ癌学会2016
9 Samaneh Yazdanikivi 東北大/病理病態学講座 病理診断学分野 アメリカ内分泌学会2016
10 清水 宣明 東大医科研/附属病院 アレルギー免疫科 糖尿病/キーストンシンポジア2017
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