医学界新聞

2015.05.18



第33回臨床研修研究会開催


 第33回臨床研修研究会が4月18日,TKPガーデンシティ品川(東京都港区)にて開催された。東京都済生会中央病院(高木誠院長)が幹事病院を務めた今回,「臨床研修のイノベーションを探る」をテーマに,卒後臨床研修の充実をめざした取り組みについて紹介するシンポジウムなどが企画され,405人の参加者が集まった。本紙では,シンポジウム「卒後研修へのシミュレーション導入の課題」(座長=京大大学院・小西靖彦氏,慶大・平形道人氏)の模様を報告する。


高木誠氏
 初めに伊野英男氏(岡山大)が基調講演を行った。氏は冒頭,初期臨床研修医が研修を行う病院を選ぶ理由として,“研修プログラムの充実”“指導体制の充実”が上位に挙がっているデータを提示。研修医の期待に応えるには指導者が研修医のモチベーションを向上させる必要があり,それには「統制」と「自律」の両者のバランスを考えたプログラムの構築が欠かせないと訴えた。

 また氏は,医師がプロに成長しプロであり続けるには,課題に対して「Try & Error」が可能な自律的鍛錬を続ける環境が必要であり,それにはシミュレーション教育が適していると述べた。脳科学の知見では,「繰り返し」が記憶の定着に有効だとわかっている。その「繰り返し」を促すには,(1)目標の明確化,(2)自律性の尊重,(3)ストレッチジョブが必要と列挙。特に,(3)のストレッチジョブを何度も繰り返すことは内発的動機を高め,有能感,最適経験を生み出し,学習の好循環につながると解説した。フィードバックや,デブリーフィングを交えながら安全な環境でストレッチジョブを繰り返せるのがシミュレーション教育の特徴であり,今後ますます必要になると語った。

 さらに氏は,自施設で実践する“教えない”シミュレーション教育,すなわち研修医自身に考えさせる指導例を紹介。「『学びの最大化』のためにはInstructorから一歩進んだ,Inspireできる指導者の存在が重要」と結んだ。

 初期研修でのシミュレーション教育導入について紹介したのは大屋祐輔氏(琉球大...

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