医学界新聞

2015.04.27



第29回日本助産学会開催


 第29回日本助産学会(会長=上智大・島田真理恵氏)が,3月28-29日,「社会をうごかす助産のちから――女性,母子と家族への切れ目ない支援を実現するために」をテーマに,きゅりあん(東京都品川区)で開催された。本紙では,助産師教育の在り方について議論されたシンポジウムの模様を報告する。


島田真理恵会長
 近年,助産師を取り巻く環境は大きく変わってきている。少子高齢化による分娩件数の減少や産科医・小児科医の不足,それらに伴う産科病棟の混合化や縮小・閉鎖,周産期医療の機能分化など,その要因は多岐にわたる。さまざまな要因が臨床現場に変化をもたらす中,助産師教育はその変化にどのように応えていけばよいのだろうか。シンポジウム「助産師教育の将来ビジョン――我が国の助産師教育の過去,現在,そして将来を見据えた課題と教育のあり方」(座長=全国助産師教育協議会・平澤美恵子氏,全国助産師教育協議会/金沢大大学院・島田啓子氏)では,母子と家族への適切な支援を実践できる助産師を継続的に養成していくために,助産師教育はどうあるべきかが議論された。

自己研鑽できる助産師が必要

 最初に登壇した近藤潤子氏(天使大)は,現状の助産師教育の課題を提示。卒業時到達目標の設定,カリキュラムや修業年限,短期大専攻科・学士課程選択科目・学士課程専攻科・大学院修士課程などの多様な教育制度は,現在の母子保健の水準に応える教育体制として適切かを見直す余地があるのではないかと会場に呼び掛けた。また,氏は,海外の助産学博士課程には,「学術博士」とは別立てに「臨床博士」が体系化されていると説明。将来的には,日本においても「ハイリスク症例への助産ケアを探究・教育する臨床博士が求められる」と提言した。

 「本来,卒前教育において教えられるべきことが,卒後教育にまで持ち...

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