医学界新聞

2015.03.30



金原一郎記念医学医療振興財団

第29回研究交流助成金・第29回留学生受入助成金贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)が,3月5日に医学書院(東京都文京区)にて,第57回認定証贈呈式を開催した。

 同財団は,基礎医学の振興を目的に,年に2回,助成金を交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。今回の助成対象者は27人で,対象者を代表して贈呈式には松田陽子氏(東京都健康長寿医療センター)他2人が出席した。

 開会に際し,金原優同財団常務理事(医学書院代表取締役社長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された同財団の概要を紹介。「海外へ行き,直接現地で他の先生と話す,研究発表をする,あるいは講演・研究発表を聞くことは大変意義のあること。この受賞を励みとして,さらに良い研究を続けてほしい」と語った。

 認定証の贈呈後,選考委員長を務める野々村氏が選考過程について説明。出席した対象者に向け,「助成金を有効に使い,立派な成果を挙げていただきたい」と激励した。

 続いて交付対象者を代表して松田氏があいさつに立った。氏らは膵癌と加齢の関係に関する研究に取り組み,加齢に伴い短縮することが知られる染色体末端のテロメアに着目。膵臓の組織幹細胞のテロメア長を測定したところ,膵癌症例では対照群と比較してテロメア長の短縮幅が大きいことが明らかになったという。この病理組織学的変化を伴わないテロメア長の短縮が,膵癌の発生過程において何らかの役割を担っている可能性があり,4月にフィラデルフィアで開催される第106回米国癌学会年次総会2015で研究結果の発表を行う予定だ。氏は,「今後も病理学的側面から老年病研究を進め,医学研究の進歩と医療の発展に寄与できるよう努力を続けたい」と意気込みを語った。


●金原一郎記念医学医療振興財団

第29回研究交流助成金・留学生受入助成金交付対象者

No. 氏名 所属機関(略称) 助成対象
1 青山 晃博 京大
呼吸器外科
第35回国際心肺移植学会学術集会
2 Alev Cantas 理研
神戸研
初期発生研究室
国際幹細胞学会 2015
3 生島 弘彬 東大
生産技術研
炎症・免疫制御学社会連携
第106回米国癌学会年次総会 2015
4 岩佐磨佐紀 京大病院
輸血細胞治療部
前川平教授室気付
第57回米国血液学会年次学術総会
5 浦田 秀造 長大熱帯研
新興感染症学分野
マイナス鎖RNA
(ウイルス)学会
6 河原 康一 鹿大
腫瘍学講座
分子腫瘍学分野
第106回米国癌学会年次総会 2015
7 神戸 大朋 京大
生命科学
統合生命科学専攻
生体情報応答学分野
第8回アジア・オセアニア連合生理学会
8 小松 周平 京府医大
消化器外科
第9回血漿・血清中の遊離核酸
についての国際会議
9 境 浩康

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