医学界新聞

2015.03.23

 第29回日本がん看護学会開催


 第29回日本がん看護学会(会長=神奈川県立がんセンター・渡邉眞理氏)が,2015年2月28日-3月1日,パシフィコ横浜(横浜市)にて開催された。「先人に学び がん看護の先を読む」をテーマに掲げた今回,本紙では,がん患者の生活を支えるために看護師をはじめ医療者が担うべき役割について議論されたシンポジウムの模様を報告する。


渡邉眞理会長
 がんの診断・治療技術の進歩により5年生存率が向上し,治療後も経過観察や薬物療法を受けながら長期に生きる人が増えている。その一方で,がん体験者が社会の中で受ける困難も多いという。シンポジウム「がん体験者の“生きる”を支える看護」(座長=徳島大大学院・雄西智恵美氏,横浜市立市民病院・小迫冨美恵氏)では,がん体験者の治療後に焦点を当て,医療者による支援の在り方について検討された。

がん患者の治療の「その後」を見越した支援を

 最初に登壇した高橋都氏(国立がん研究センター)は冒頭,「サバイバーシップ」の言葉が医療系学会の大会テーマに初めて掲げられたのは,2001年の第15回日本がん看護学会だと紹介し,その先駆性を評価した。それから14年経った現在,がん医療の進展に伴い生存率が向上したことで,がんは長く付き合う慢性病になりつつあり,診断・治療後も再発予防や再発治療を受けながら,就学・就労,経済的問題などに向き合う,患者・家族の心身の苦痛の軽減と生活支援が不可欠な時代になっていると語った。

シンポジウムの模様
 看護師には,がん患者の治療の「その後」がどうなるかを見越した視点が必要になること,医療機関は,患者・家族への適切な「情報発信基地」になることが求められると強調。さらに氏は,「がんは治りにくい病気」と国民に認識されている現状があることに触れ,今後は学校教育や職場,地域社会などに対して,がん治療とサバイバーシップの理解を啓蒙する機会が必要と語った。

 小児がん体験者の治療...

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