MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2014.11.10
Medical Library 書評・新刊案内
中村 清吾 監修
聖路加国際病院ブレストセンター・オンコロジーセンター 編
山内 英子 責任編集
《評 者》池田 正(帝京大主任教授・腫瘍外科学)
現場を意識した構成で使いやすいポケットガイド
『乳癌診療ポケットガイド 第2版』が発刊された。山内英子先生編集のもと,聖路加国際病院のブレストセンター・オンコロジーセンターが総力を挙げて改訂された。乳癌の分野では医学情報が日進月歩であるため,待ちに待った改訂といえる。
本書の特徴は,(1)乳癌診療の基本から最新情報までコンパクトにまとめてあること,(2)図表を多用しており,かつ2色刷のため非常に見やすいこと,(3)看護の面から見た情報も記載してあること,(4)遺伝性乳癌,多遺伝子アッセイ,社会的サポートなどトピックについても紙面を割いていること,(5)薬物療法に関してはレジメンの量まで記載してあることなどである。ことに,ポケットに入るような大きさにもかかわらず,レジメンが細かく書いてあるなど,臨床の現場を意識して構成しているため実臨床で非常に使いやすいものに仕上がっている。若い医師が臨床現場でオーダーを確認するのにもってこいである。また,乳癌は近年増加が著しく,臨床でよく遭遇する疾患である一方,診断治療の変化が著しい癌でもあり,専門外の先生にとっては苦手意識があるかもしれない。このような先生にとってもレジメンの根拠になる臨床試験も挙げており,理解しやすいと思う。本書を読んでさらに詳しい情報が欲しいと思われる方は,『乳癌診療ガイドライン』などを一緒に読まれるとさらに理解が深まってよいだろう。
本書の内容から見てわかることは,編者も序で述べているが,チーム医療を推進するに当たり全員が共通の理解の下にディスカッションすることが重要だということである。その目的のために構成された本書は乳癌に携わる方々を対象に,基盤となる情報を過不足なく網羅している。若手医師,看護師ほか乳癌診療にかかわるメディカルスタッフにお薦めであり,ポリクリ学生にも参考となるであろう。ぜひ日常臨床でポケットに入れて持ち歩き,わからないことをすぐに確認するとともに,キャンサーボードなどでも活用されることをお薦めする。
B6変型・頁264 定価:本体3,600円+税 医学書院
ISBN978-4-260-01950-7


内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術
[3DCT画像データDVD-ROM付]
CT読影と基本手技
伊藤 壽一 監修
中川 隆之 編
《評 者》佐伯 直勝(千葉大教授・脳神経外科学)
経鼻内視鏡手術を行う脳神経外科医にとり有用な書
脳神経外科手術領域における内視鏡下経鼻手術は,従来の顕微鏡下経鼻下垂体手術をさらに発展させた洗練された方法として認められつつあり,従来拡大経蝶形骨洞手術として行われていた傍鞍部腫瘍への到達法から,さらに広がりを持った手術法も可能となった。そして内視鏡下経鼻手術は,正中病変では前頭蓋底から頭蓋・頸椎移行部,側方病変では海綿静脈洞,翼口蓋窩,側頭窩下,眼窩内病変に至るまで,頭蓋底疾患を広く扱える手術法として発展しつつある。欧米諸国では,耳鼻咽喉科,頭頸部外科,脳神経外科をバックグラウンドとしたチーム医療が花開きつつあり,日本においてもこの領域に特化した専門医グループの出現が待たれる。
一方で,髄液漏れ...
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