医学界新聞

2014.11.10



第20回白壁賞,第39回村上記念「胃と腸」賞授賞式


 第20回白壁賞および第39回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が,9月17日に笹川記念会館国際会議場(東京都港区)で開催された早期胃癌研究会の席上にて行われた。第20回白壁賞を受賞したのは,小林正明氏(新潟大医歯学総合病院光学医療診療部)ほか「Magnifying narrow-band imaging of surface maturation in early differentiated-type gastric cancers after Helicobacter pylori eradication」[Journal of Gastroenterology. 2013 ; 48(12) : 1332-42.]。また,第39回村上記念「胃と腸」賞は,梅野淳嗣氏(九大大学院病態機能内科学)ほか「虚血性小腸炎の臨床像」[胃と腸.2013 ; 48(12): 1704-16.]に贈られた。

除菌施行の有無による分化型早期胃癌の内視鏡的・組織学的特徴を抽出

小林正明氏
 白壁賞は,故・白壁彦夫氏の業績をたたえ,消化管の形態診断学の進歩と普及に貢献した論文に贈られる。授賞式では,選考委員を代表して二村聡氏(福岡大医学部病理学講座)が選考経過を説明。「本論文は,分化型早期胃癌のうち除菌後に発見されたものと除菌未施行のもの各50病変を登録し,内視鏡的特徴と組織学的特徴の抽出を試みた。内視鏡画像,組織標本の丁寧な解析から導き出された今回の結果は,臨床医のみならず生検診断を担当する病理医にとっても大変有用な知見と考えられる」と受賞論文を評した。受賞のあいさつで小林氏は,「本研究は,除菌治療を否定しているわけではなく,除菌後の内視鏡検査ではわかりにくい早期胃癌があることを伝えたかった。今後は除菌後胃癌の観察ポイントを明確にしていきたい」と抱負を語った。

虚血性小腸炎の詳細な臨床像を明らかに

梅野淳嗣氏
 村上記念「胃と腸」賞は,故・村上忠重氏の業績をたたえ,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した論文に贈られる。二村氏は「本論文では,虚血性小腸炎24例の臨床像について詳細な解析がなされている。病変が回腸に限局する例は,回腸以外にも病変を有する例より高齢で,高度狭窄に至る率が高いこと,続発性の例は特発性より高度狭窄を来しやすいことを明らかにした。また,術前内視鏡検査が可能な例では,全周性区域性潰瘍が特徴的であることを指摘。本来まれな疾患であるが,約34年かけて集積した自験例を徹底的に解析することで日常診療に有用な情報を導き出している」と受賞理由を語った。梅野氏は,「私の所属する科では症例1例1例を大切にすることをモットーにしている。本論文の受賞によってそれが評価され,非常に光栄である。この受賞に恥じないよう,今後も丁寧に診療に当たりたい」と喜びを語った。

 *授賞式の模様は「胃と腸」誌(第49巻13号)にも掲載されます。

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