医学界新聞

2014.07.28

言語聴覚士の在り方を求めて

第15回日本言語聴覚学会の話題から


ST増加の裏に課題も

半田理恵子学会長
 日本で国家資格として言語聴覚士(ST)が誕生したのは1999年。それから15年の時を経て,2014年現在,有資格者は約2万4000人を数える。着々と新たな担い手を増やし,活動意義が認知されてきたSTだが,構造的な課題もある。有資格者の中心を20-30代が占めるため,若い世代のSTには,経験ある先輩が不在の現場で手探りの実践を迫られてきた者も少なくない。また,人手不足の職場で多忙な業務に追われる一方,臨床や研究の経験の浅いままに,管理職としてマネジメントまで担わざるを得ないケースも多く見られるというのだ。

 近年,超高齢社会の訪れとともにリハビリテーション(以下,リハ)の需要はますます高まり,地域包括ケアがうたわれる中で訪問リハ,通所リハなどの新たな専門サービスも登場した。需要増大・職域拡大の状況にあって,今,STはいかなる点に専門性を見いだし,どのような役割を果たすべきなのだろうか。第15回日本言語聴覚学会(学会長=東京都言語聴覚士会長・半田理恵子氏,2014年6月28-29日,大宮市)において開催されたシンポジウム「言語聴覚士とはなにか あるべき姿を再考する――成人の領域に携わる立場からの提言」(コーディネーター=国際医療福祉大大学院・藤田郁代氏)では,成人領域のリハに長く携わってきた実践者たちが現状を俯瞰し,STの担うべき役割を考察した。

STはコミュニケーションを扱う専門職である

 「専門性の空洞化が懸念される」。シンポジウム冒頭,STを取り巻く環境を解説した藤田氏は現状をそう評価した。近年の社会変化の中でSTの専門性は揺らいでおり,現場で見られる実践も学問の進歩を反映した実践と,経験知に頼る実践に二極化していると問題提起。STが専門性を発揮し,効果的・効率的な実

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