医学界新聞

2014.07.07

ACP日本支部年次総会2014開催


 ACP(米国内科学会)日本支部の2014年年次総会が,5月31日-6月1日,京都大学百周年時計台記念館(京都市)にて福原俊一会長(京大大学院)のもと開催された。日本内科学会から独立したかたちでの開催として3度目となる今回は,「総合内科」により焦点を絞った実践的プログラムが並ぶとともに,世界で最も高齢化が進んでいる日本ならではの医療的課題に内科医がどうかかわるべきかを問う演題も組まれた。本紙では,学会企画セッション「超高齢化社会における内科医療の役割を再考する」(座長=八田内科医院・八田告氏)のもようを報告する。

超高齢社会において,高齢者がより善く暮らしていくには

 まず紫垣有吾氏(聖マリアンナ医大)が導入として,寿命の延伸の限界,治療の合併症によるQOLの低下,診療ガイドラインの不適応など,高齢者医療における難問を提示。高額な医薬品や医療機器を用いた一律的な延命より,他者や自然とのかかわりで身体・認知機能を維持しつつ,より幸福度の高い,尊厳ある余生を送れることをアウトカムとすべきと示唆した。また,そうした全人的医療としての高齢者診療の魅力を若い医師に伝えたいとも語った。

 遠藤英俊氏(国立長寿医療研究センター)は「認知症」と「虚弱」の二点を軸に話を展開。認知症の医療目標として,生活機能のより長い維持,BPSDなど周辺症状の緩和,家族の介護負担の軽減を挙げ,早期の予防的対応と,「認知症カフェ」など地域での相談・支援の場の拡充が肝要と指摘した。また,フレイル(虚弱)やサルコペニア(加齢性筋肉減少症)等,“未病”段階からの対処の重要性にも触れ,包括的な機能評価を行いゆるやかなエンド・オブ・ライフ・ケアにつなげていくべきと話した。

 続いて,地域で高齢者の健康増進の実践を行う二氏が登壇した。福岡県北九州市にあるふらて会西野病院では,花や植物の手入れを通して自然に親しむ園芸療法(Nature based therapy)をはじめ,有酸素運動,工芸など高齢者が楽しめるアクティビティを治療として実践。同院院長の西野憲史氏は,これらのプログラムにより身体・認知機能の維持が図れるとともに,高齢者が主役になれる場を作ることで“歓び”が生まれ,生活意欲の活性化につながると述べた。また,自然と共生しながら新しい産業や資本を生み出す「里山資本主義」の実践者で,広島県庄原市にてさまざまな町おこし活動を行っている和田芳治氏も発言。高齢者の力を活用した町作りを行うことで,地域の活性化はもとより,高齢者自身の生きがいの創出にもつながることを訴えた。