医学界新聞

2014.06.30

第49回日本理学療法学術大会開催


 日本理学療法士協会の会員数は8万5127人(2013年6月時点)。最も多い年代は20代だ。女性会員は3万6206人と,全体の42.5%に達する。会員数の増加とともに,各年代の理学療法士それぞれが迎える,多様なライフイベントに応じた就業の在り方への継続した議論が求められている。本紙では,第49回日本理学療法学術大会(大会長=神奈川県立保健福祉大・長澤弘氏,2014年5月30日-6月1日,横浜市)にて企画されたライフサポートセミナー第II部「ライフスタイルの変化と就業継続に関する問題――様々な立場からの問題提起」(座長=大和市立病院・大槻かおる氏,ふれあい平塚ホスピタル・大島奈緒美氏)の模様を紹介する。

理学療法士の就業継続における問題を考える

長澤弘大会長
 本セミナーでは,育児や介護を経験した理学療法士や,管理職の立場にある理学療法士が登壇。それぞれが直面した就業継続の課題と解決策が議論された。

 女性の大きなライフイベントの一つに妊娠・出産がある。現在はフリーランスとしてヘルスプロモーションに携わる杉山さおり氏(GoodPosture)は,理学療法士として働き続けたいという気持ちを抱えながらも,妊娠を機に離職せざるを得なかった。その経験から,「育児は未来の社会を構成する“人”を育てる大切な仕事。悩みを一人で抱え込まずに,今の自分の状況を説明し,周囲の理解を得ていくことが必要」と語った。

 日本における男性の育児休暇取得率は1.89%(2012年度)と依然として低いが,井澤和大氏(聖マリアンナ医大)は育児休暇を5か月間取得。経済面や周囲への負担を増やすことに不安を感じていたが,育児休暇を通して子どもと貴重な時間を共有できたことや,時間配分がより明確になり復職後仕事の効率が上がったと話し,男性の積極的な育休取得を呼び掛けた。

 「介護は誰もが突然直面し得る問題」。義理の祖母の自宅介護を経験した酒井勇紀氏(小林病院)は,介護は終わりが見えず,「細く長く休みを取れる環境が望まれる」と述べた。また,自身が休暇取得に消極的だったことを反省点に挙げ,さまざまなライフイベントにおいて男性が協力しやすい環境作りを求めた。

 最後に登壇した相川浩一氏(介護老人保健施設アゼリア)は管理職の立場から,急な職員の離職による事業運営上のマイナス要因として(1)優秀な人材の喪失,(2)利用者との信頼関係の再構築が必要になること,(3)年度目標の未達成,(4)施設規準の不適格を列挙。予測できる事態に対しては,事前に当事者や上長との調整,業務内容の調整を行っておく必要性が管理者にも求められると訴えた。

 セミナーを企画した神奈川県理学療法士会会員ライフサポート部では,ライフサイクルと就業継続に関する実態調査や情報発信,会員支援事業を行っている。座長の大槻氏は「本セミナーは今学会が初の試み。まだまだ課題はたくさん残っており,今後も理学療法士の就業の在り方について提言を行っていきたい」と述べた。