医学界新聞

2014.06.23

Medical Library 書評・新刊案内


早期離床ガイドブック
安心・安全・効果的なケアをめざして

宇都宮 明美 編著

《評 者》道又 元裕(杏林大病院看護部長)

早期離床を安全かつ効果的,効率的に実践

 疾病にさいなまれた患者が回復していくプロセスは決して簡単ではなく,さまざまなハードルを乗り越えなければなりません。その道のりの良否を握る鍵が早期離床へ導くリハビリテーションです。

 今や臨床における早期離床のためのリハビリテーションは,従来の安定回復期に対するリハビリテーションとは異なり,入院直後といっても過言ではない早い時期からのスタートが常識です。その対象となる疾病,状態は外科領域,内科領域を問わず広がってきています。つまり,全身状態が安定し,患者が自らリハビリテーションを始めることが可能となってからの介入ではなく,超早期であっても介入の余地があれば可及的速やかに開始することがスタンダードなのです。

 その背景には,早期に離床を実現することによって,不要な臥床による肺炎などの呼吸器合併症をはじめとした廃用による連鎖的機能低下,二次的合併症を予防できることが明らかとなってきたことが挙げられます。

 不要な連鎖的合併症の発生を予防するためには,多職種によるチーム医療が不可欠です。単一の職種だけがその専門領域のパワーを駆使したところで限界があるばかりか,余計に増悪してしまうことも少なくありません。したがって,全身管理,局所管理,モニタリング,アセスメント,合併症の予測,開始と中止および過程の評価(安全と危険の判断,効果の評価),機能回復のためのスキル,患者のQualityを前提とした展望などについて多職種が協働・共同をしながらリハビリテーションを提供することが重要です。

 本書は,そんな「急性期医療の対象となる患者の早期離床」を「安全かつ効果的,効率的に実践」することをコンセプトとして,経験豊富な編著者たちがこれまで臨床で培ってきた臨床知とエビデンスを丁寧に整理,表現し,読者が理解しやすいように編さんされた良書です。

 離床に必要な知識と実践を多角的な視点からアプローチした構成に仕上げており,特に急性期に必

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