2013年度保助看国家試験合格発表
2014.04.21
2013年度保助看国家試験合格発表
看護師国家試験合格者は2年連続5万人超える
厚労省は3月25日,2013年度の第100回保健師国家試験,第97回助産師国家試験および第103回看護師国家試験の合格者を発表した。試験日の2月16日に,首都圏を含む一部地域が大雪に見舞われた影響を受け,3月19日に行われた看護師国家試験の追加試験合格者は,3月29日に発表された。
写真左 自分の受験番号を探す受験者ら/写真右 安堵の表情を浮かべる合格者ら=いずれも東京・厚労省にて |
合格率は,保健師86.5%,助産師96.9%,看護師89.6%(追試含む)で,保健師,助産師は前年を下回り,看護師は上回った。
「選択肢に誤りがあり,正解が得られない」という理由により採点対象から除外された問題は保健師国家試験と看護師国家試験(追加試験)でそれぞれ1問あった。学校区分による合格者状況を以下に示す。経済連携協定(EPA)により来日したインドネシア人看護師候補者,フィリピン人看護師候補者からはそれぞれ16人の合格者が生まれた。
合格発表会場のひとつとなった東京・厚労省講堂には,受験者やその家族,学校関係者,病院関係者らが多数詰め掛けた。14時の発表時間になると,受験者らが一斉に合格番号の記された資料と自分の受験番号を照合した。会場には歓声があふれ,友人と抱き合って喜んだり,記念撮影をしたりする姿が見られた。
都内のある看護専門学校生は,試験当日の大雪に備え,前日から会場近くに宿泊して臨み,無事合格したという。試験の内容について尋ねると,「これまでの出題傾向とは異なる点もあったが,しっかり勉強した成果を発揮できて良かった」と笑顔で語った。
表 保助看国試合格者数・合格率の推移 |
第103回看護師国家試験の出題傾向分析
斉藤 由美(東京アカデミー東京校 講師) ◆必修問題について 全般的に過去問題に類似した出題が多く,易しかった。全分野から出題されているが,今年は薬物に関する出題が多くみられた。また,「疾患→薬物」の丸暗記で単純に解答させる問題ではなく,「症状→疾患→薬物」と思考させる問題も必修に出題されている。他には,「徒手筋力テスト」のような日ごろの勉強で見逃しがちな内容も出題された。 ◆一般問題について 「看護の統合と実践」が導入され,一般問題9問,状況設定問題9問の計18問あった。その分,昨年の第102回より,成人,老年が各10問ずつ,他の科目も平均2問程度減っている。そのためか,病態生理を問う出題が減り,「看護師として何をするのか」「患者さんに対しての接し方」などの問題が大半を占めていた。 50番台に症例問題のような出題が続いたが,ほとんどが,実は病態生理の知識を問う問題だった。問題の読解力が勝負となった。 70番台の「統合と解釈」は,災害時のことばかりでなく,保健師国試で出題されるような,社会資源等の問題も出題されている。言葉の意味や社会システムをしっかり覚えて使いこなせる知識と応用力が必要とされる。 ◆状況設定問題について 60問全てが考察を必要とする問題であった。看護で「最も注意すべきものは」「最も適切なのは」等,その状況で患者さんに何をすべきかを問う問題や,状況から「可能性が高い症状は何か」を問う問題は,ただ参考書を丸暗記しているだけでは,どの選択肢も〇に思えてしまう。設定された状況を理解し考察すれば,選択肢を1つに絞ることができるため,読解力と状況判断力が勝負となる。また,難疾患として非Hodgikinリンパ腫が出題されたが,病態を知らずとも,化学療法についてわかれば解答できる問題だった。 昨年度から臨床現場重視の「医療人としての常識」を問う問題が増加している。常に疑問を持ち,患者さんのためにどうしたらいいかを考えることが大切である。最高学年の国試対策学習のみでは難しいため,低学年からの教育が重要である。 |
2013年度保助看国試の合格基準 | |
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■2013年度保助看国家試験合格者状況
第100回保健師国家試験合格状況 |
第97回助産師国家試験合格状況 |
第103回看護師国家試験合格状況(追加試験を含む) |
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