医学界新聞

2014.03.24

Medical Library 書評・新刊案内


早期離床ガイドブック
安心・安全・効果的なケアをめざして

宇都宮 明美 編著

《評 者》吉里 孝子(熊本大病院看護師長/急性・重症患者看護専門看護師)

急性期・回復期・患者指導に生かせる具体的な早期離床

 ICUや救急領域において,デコンディショニングを予防しながら呼吸や循環・代謝を活性化させ,回復を促進させるために早期離床の重要性は強調されています。この本は看護師の視点から早期離床をどのように考え,アセスメント・計画・実施・評価していくかを示しているのが特徴です。

 第I章では,早期離床プログラムについて,外来から入院(急性期から回復期),そして退院後を一つの時間軸でとらえ,多職種によるチーム医療の必要性と同時に看護師間の連携の重要性を伝えています。第II章では早期離床には看護師の判断が不可欠であるという考えのもとに,看護師が知っておくべき知識が述べられています。具体的には臥床による身体への障害(廃用症候群)と侵襲が生体に及ぼす影響,早期離床を妨げる大きな要因である疼痛へのアプローチ,さらには患者教育について触れています。第III章では早期離床のプランニングとアセスメントについて,術前身体評価が術後の回復過程に影響するという視点で書かれ,トータルケアの考えが述べられています。著者らは,早期離床が患者の早期回復プログラムの主要な構成要素であることを示し,入院前からの手術襲侵や合併症のリスク,ならびに身体状況,病気や手術の認識や理解度をアセスメントし,術後の回復過程につなげることの大切さも書かれています。さらに早期離床を安全に進めるためのプロトコールの必要性も述べられ,医療チームが共通の認識のもとにプログラムに参加し,離床の進行の可否のみならず,実施中の中断および再施行の判断について,基準作りの重要性についても書かれています。第IV章では,具体的な事例を基に早期離床のエッセンスについてわかりやすく述べられ,すぐに臨床に活用しやすい内容になっています。

 私はICUの看護管理者として,また専門看護師として組織横断的に活動する中で,何かと稼働率や在院日数の短縮を意識した活

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