医学界新聞

2014.03.17

誤えん性肺炎とPEGの適応を議論


 2014年度診療報酬改定においては,経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)の点数が大幅減算されると同時に,胃ろう造設時嚥下機能評価加算や胃ろう抜去術の技術料が新設された。PEGの適応や経口摂取への移行に関しての適切な評価が求められるなか,その判断が最も難しい疾患が誤嚥性肺炎だ。第29回日本静脈経腸栄養学会(会長=名市大・竹山廣光氏,2014年2月27-28日,横浜市)にて企画されたシンポジウム「誤えん性肺炎とPEG の功罪」(司会=滋賀医大病院・佐々木雅也氏,大阪市立総合医療センター・西口幸雄氏)の模様を報告する。

PEGの適応をどう評価するか,PEG後の誤嚥性肺炎発症をどう防ぐか

 野原幹司氏(阪大歯学部病院)は,嚥下内視鏡検査で誤嚥を認めた高齢者と認めない高齢者の肺CT所見を比較した結果,両群の肺炎所見に有意差を認めなかったという論文を紹介(PMID:23832617)。「高齢者が誤嚥したからといって,必ずしも誤嚥性肺炎を発症するわけではない」と,安易な経口摂取制限に警鐘を鳴らした。さらに,サッカリンテストの結果から,誤嚥症例では,誤嚥性呼吸器疾患のリスクとして気道粘液線毛輸送機能の低下が関与していると考察。誤嚥が誤嚥性呼吸器疾患につながるかどうかは,誤嚥の量や内容といった「侵襲因子」だけでなく,「抵抗因子」も考慮した総合評価が必要であるとの見方を示した。

 井端剛氏(箕面市立病院)は,自施設におけるPEG後早期の誤嚥性肺炎発症例の予後に関して検討した結果,PEG後の誤嚥性肺炎と...

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