MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2013.10.21
Medical Library 書評・新刊案内
渋谷 美香 著
《評 者》西田 朋子(日赤看護大講師・看護教育学)
はじめて指導者になる人に贈りたい1冊
「教育委員や指導者の心と仕事を軽くする本にしたい」(はじめに)とあるように,本書は,現場で初めて指導者になるすべての人に向けられた,著者からの温かいメッセージに満ち溢れている。
初めて後輩を育てる立場になった人も,ひとを育てる立場になって長い人も,「ひとを育てるってどういうことだろう?」「どうやったらもっとうまくいくのだろう」と考えることは少なからずあるだろう。しかし,考えれば考えるほど,また,後輩が思うように育たないと感じれば感じるほど,「ひとを育てるって難しい」と思いがちである。ところが,後輩が頼もしく育つと,「ひとを育てるって楽しい!」「また指導者になりたい!」という思いを抱くのも事実ではないだろうか。本書には,指導的立場にある多くの人が,悩みつつ指導にあたりながらも,最終的には指導者になってよかったと思えるような仕掛けがちりばめられている。
1つ目は,目次に目を通すだけでも,「今の自分にも,これならできそう」と思える具体的な行動を選び取れることである。われわれは指導に困っているときに,藁をもつかむ思いで解決の糸口を探ろうと本を手に取ることがある。しかし,じっくりと腰を据えて本を読む時間が取れないこともあるだろう。"涙があふれる新採用者の背中をさする"(春 十一番)のように,内容を十分に読む時間が取れなくても,今できることにたどり着くことができる。
2つ目は,パラパラとページをめくってみるとわかる。ところどころにある,おみくじの指南のような著者からの「お告げ」に目が留まるはずである。ところどころ,というのが著者らしい仕掛けである。そして,次の「お告げ」は何だろう? と思いながら読んでいるうちに,スーッと気持ちが軽くなるのを期待できる。
教えることは学ぶこと,とも言われるように,はじめから相手が望むようには教えられないかもしれない。しかし,ひとを育てることや教えることは,育てる・教える立場である自分を受け入れ,逃げ出さず,あきらめないことが第1歩であるのかもしれないとあらためて考えさせられる。本書を何度か読み返してみると,「新採用者へのかかわり方」だけではなく「指導者としての自己のありよう」の大切さも浮かび上がってくる。考えや意見が異なるのは,そのひとが持っている価値が違うからであり,その違いを大切に扱うことである,という内容が文中には書かれている。著者は,本書を通して単なるかかわりの方法だけではなく,育てる人としての自己を振り返ることや,ひとを育てる自分が成長することの必然性を伝えているようにも思える。
どの立場にあっても,ひとを育...
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