医学界新聞

2013.10.14

金原一郎記念医学医療振興財団

第54回認定証(第28回基礎医学医療研究助成金)贈呈式開催


 金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)は,このほど「第28回基礎医学医療研究助成金」の交付対象者として49人(助成総額1680万円)を選出。9月25日に,医学書院(東京都文京区)にて第54回認定証贈呈式を開催した。

 開催に際して,金原優同財団業務執行理事(医学書院代表取締役社長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された本財団の概要を紹介し,「受賞を励みとしてさらによい研究に結びつけ,日本の医学の進歩に貢献してほしい」と選出された対象者を激励した。

 認定証贈呈の後,同財団理事長で選考委員長の野々村氏が,245人の応募があった今回の選考経過について説明。女性の受賞者が15人に増えたことを称え,「日本は経済的な面から助成金が減る傾向にあるなど,けっして研究者にやさしい環境ではないかもしれないが,日本の医学・生物学の研究をぜひ支えてほしい」と期待を述べた。

 続いて交付対象者を代表して菅波孝祥氏(東医歯大大学院特任教授・助成対象「脂肪組織線維化による新たな異所性脂肪蓄積の分子機構の解明と医学応用」)が挨拶に立った。氏はメタボリックシンドロームの基盤病態となる「慢性炎症」に注目し,飽和脂肪酸が炎症性アディポサイトカインとして慢性炎症を引き起こすこと,また,魚油に多く含まれるn-3多価不飽和脂肪酸が,その炎症抑制性に働く性質を見いだし,基礎研究と臨床研究の両面から明らかにした。さまざまな臓器機能障害(広義の脂肪毒性)が起こる一因に慢性炎症による間質の線維化を挙げ,今後は脂肪組織線維化の分子機構の解明をめざし,「メタボリックシンドロームに対する新しい治療戦略の創出につなげたい」と抱負を語った。


●金原一郎記念医学医療振興財団

第28回基礎医学医療研究助成金交付認定者一覧

No. 氏名 所属機関 助成対象
1 池田 博 札幌医科大学 骨髄微小環境における単球と骨髄腫細胞との相互作用
2 伊丹 千晶 埼玉医科大学医学部 カンナビノイドによる軸索投射刈り込みの可能性の検証
3 岩脇 隆夫 群馬大学先端科学
研究指導者育成ユニット
炎症可視化モデルマウスの開発
4 内田 宏昭 東京薬科大学
生命科学部
2重標的化バイオ医薬の創成によるがん分子標的治療の特異性の増強
5 大木 理恵子 国立がん研究センター
研究所
PHLDA3遺伝子は神経内分泌腫瘍の新規がん抑制遺伝子である
6 大澤 陽介 岐阜大学大学院
医学系研究科
悪性腫瘍に対するスフィンゴ脂質誘導性免疫細胞を用いた新規免疫療法
の開発
7 大場 雄介 北海道大学大学院
医学研究科
エンドサイトーシスのマスター制御機構の解明
8 大山 一徳 東北大学農学研究科 乳癌発症におけるLGR4の機能解析
9 小野寺 康仁 北海道大学大学院
医学研究科
糖代謝の亢進によるがんシグナル活性化のメカニズム
10 柏谷 英樹 鹿児島大学大学院
医歯学総合研究科
香り誘発性鎮痛の神経機構
11 上村 顕也 新潟大学大学院
医歯学総合研究科
肝細胞癌のシスプラチンに対する感受性マーカーの検証
-肝細胞癌のテーラーメード治療を目指して

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