金原一郎記念医学医療振興財団贈呈式
2013.04.01
金原一郎記念医学医療振興財団
第27回研究交流助成金・第27回留学生受入助成金贈呈式開催
金原一郎記念医学医療振興財団(理事長=東大名誉教授・野々村禎昭氏)が,3月8日に医学書院本社(東京都文京区)にて,第53回認定証贈呈式を開催した。
同財団は,基礎医学の振興を目的に,年2回,助成金を交付している。下期である今回は,海外で行われる基礎医学医療に関する学会等への出席を助成する研究交流助成金と,基礎医学医療研究を目的に日本へ留学する大学院生等を助成する留学生受入助成金が交付された。今回の助成対象者は26人で,贈呈式には塩塚政孝氏(東大大学院)ほか4人が対象者を代表して出席した。
開会に際し,金原優同財団常務執行理事(医学書院代表取締役社長)が,医学書院の創業者・金原一郎の遺志を継いで設立された本財団の概要を紹介。「今回選ばれたことを励みとして,さらに良い研究を進めてほしい」と語った。
認定証贈呈の後,選考委員長を務める野々村氏は,一昨年の東日本大震災以降,科学研究費が減少していることに触れ,「研究を志す方にとっては非常に厳しい時代だが,こうした助成金を有効に使って頑張ってほしい」と激励した。
続いて交付対象者を代表して塩塚氏が挨拶に立った。氏らはナンセンス変異型筋ジストロフィーの「リードスルー」による薬物療法の確立をめざして研究に取り組んでいる。リードスルーとは,ナンセンス変異によって生じた異常な終止コドンを薬物により抑制し翻訳を進行させ,正常機能を有するタンパク質分子の発現を回復させることで,症状の改善をめざす新しい治療法だ。これが確立されれば,筋ジストロフィーに限らず,ナンセンス変異型遺伝性疾患に対する治療法としても期待できるという。既に氏らは抗菌薬アルベカシンに顕著なリードスルー活性を見いだしており,「今後は国際共同治験を行い,研究成果を国際的に発表することが非常に重要。筋ジストロフィー治療の確立に向けて,より一層の努力を継続していきたい」と意気込みを語った。
●金原一郎記念医学医療振興財団
第27回研究交流助成金・第27回留学生受入助成金交付対象者および研究内容
No. | 氏名 | 所属機関(略称) | 助成金対象 |
1 | 伊藤 利洋 | 岡山大・病理学 | 第15回国際免疫学会議 |
2 | 岩丸 有史 | 立川病院・外科 | 第15回世界肺癌会議 |
3 | 梅村 将就 | 横浜市大・循環制御医学 | 米国がん年次学会 2013 |
4 | 江口 潤 | 岡山大病院・腎臓・糖尿病・内分泌内科 | 第73回アメリカ糖尿病学会 |
5 | 及川 大輔 | 群馬大・先端研/指導者育成U | Cell Symposia;Mitochondria from signaling to disease |
6 | 大西 俊介 | 北大・消化器内科 | 第11回国際幹細胞学会 |
7 | 小原祐太郎 | 山形大・薬理学 | 神経科学会2013 |
8 | 姜 秀辰 | 阪大・呼吸器・アレルギー内科 | 第15回国際免疫学会 |
9 | 塩塚 政孝 | 東大・総合文化研/生命環境科 | 第53回米国細胞生物学会年会 |
10 | 末次 淳 | 岐阜大・第一内科 | 第48回ヨーロッパ肝臓学会 |
11 | 杉田 和成 | 産業医大・皮膚科 | 国際研究皮膚科学会 |
12 | 杉山 大介 | 九州大学病院・AROセンター | キーストンシンポジウム,造血 |
13 | 楯谷三四郎 | 神戸大・糖尿病・内分泌内科 | 第95回米国内分泌学会年次集会 |
14 | 中野 竜一 | 帝京大・微生物学 | 2013年 抗菌薬および化学療法に関する国際会議 |
15 | 中村 幸男 | 信州大・運動機能学 駒ヶ根市・昭和伊南総合病院 |
2013年米国人類遺伝学会 |
16 | 仁科 隆史 | 順天堂大・アトピー疾患研 | 第14回国際TNF会議 腫瘍壊死因子2013 |
17 | 藤井 穂高 | 阪大・微研 | コールドスプリングハーバーミーティング「真核生物の転写機構」 |
18 | 水野 誠 | 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研 | 北米神経科学会 2013 |
19 | 森田 英嗣 | 阪大微研・ウイルス研究G | キーストンシンポジウム,プラス鎖RNAウイルス(D7) |
20 | 安田 浩之 | 慶応大・呼吸器内科 | 米国癌研究会議 |
21 | 若槻麻里子 | 京大・臓器再建応用研究 | 第40回ヨーロッパ人工臓器学会年次総会 |
22 | Arifudin Achmad | 群馬大・放射線診断核医学 | Development of novel intratumor-specific polymer immunonanobubbles as targeted ultrasound contrast agent |
23 | Zaid Maryam | 滋賀医大・環境応答因子解析 | 心血管疾患疫学:ライフスタイル関連の病気の科学 |
24 | 戦 冬雲 | 国立循環器病セ・心臓生理機能 | 生理活性ペプチドを用いた拡張型心筋症の新しい治療法の開発 |
25 | 寥 紀元 | 九大・ゲノム病態学 | ヒトiPS細胞作製過程におけるリプログラミング促進分子機構の解析 |
いま話題の記事
-
忙しい研修医のためのAIツールを活用したタイパ・コスパ重視の文献検索・管理法
寄稿 2023.09.11
-
人工呼吸器の使いかた(2) 初期設定と人工呼吸器モード(大野博司)
連載 2010.11.08
-
連載 2010.09.06
-
事例で学ぶくすりの落とし穴
[第7回] 薬物血中濃度モニタリングのタイミング連載 2021.01.25
-
寄稿 2016.03.07
最新の記事
-
医学界新聞プラス
[第3回]人工骨頭術後ステム周囲骨折
『クリニカル・クエスチョンで考える外傷整形外科ケーススタディ』より連載 2024.04.19
-
医学界新聞プラス
[第2回]心理社会的プログラムを分類してみましょう
『心理社会的プログラムガイドブック』より連載 2024.04.19
-
医学界新聞プラス
[第1回]心理社会的プログラムと精神障害リハビリテーションはどこが違うのでしょうか
『心理社会的プログラムガイドブック』より連載 2024.04.12
-
医学界新聞プラス
[第2回]小児Monteggia骨折
『クリニカル・クエスチョンで考える外傷整形外科ケーススタディ』より連載 2024.04.12
-
医学界新聞プラス
[第5回]事例とエコー画像から病態を考えてみよう「腹部」
『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』より連載 2024.04.12
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。