いま,内科医に求められるものとは(藤田芳郎,鈴木孝幸,八重樫牧人,志水太郎)
対談・座談会
2013.01.14
【座談会(『medicina』50巻1号より)】 いま,内科医に求められるものとは | |||
藤田芳郎氏 中部ろうさい病院 リウマチ膠原病(腎・感染症)科 =司会 | 鈴木孝幸氏 大船中央病院 内科・消化器内科 | 八重樫牧人氏 亀田総合病院 総合診療・感染症科 | 志水太郎氏 練馬光が丘病院 総合内科 |
創刊50周年を迎えた『medicina』誌。記念すべき50巻1号では,司会に藤田芳郎氏を迎え,米国臨床留学を経て,国内で臨床医・指導医として活躍する3氏と座談会を開催。「いま,内科医に求められるものとは」をテーマに議論した。
本紙では,そのもようをダイジェストでお伝えする[座談会全文は『medicina』(50巻1号)に掲載]。
臨床研修の充実のために
藤田 米国臨床留学の中で受けてこられたような良質な教育を,国内で実現するためにどのようなことを心がけているのでしょうか。
志水 当院総合内科後期研修の教育プログラムを立ち上げ,運営していますが,そこではカンファレンス室での教育よりも,現場でのベッドサイド教育を重視しています。
疾患の各論を学ぶにしても,実際に目の前の患者さんから直に学ぶのが一番効果的でしょう。目の前の患者に直結しない知識ベースの座学は,教育者側には容易さと満足感をもたらしますが,学習者側の満足度と教育効果は決して高くありません。卒後教育では,座学はベッドサイド教育の内容を補完する形で実施するとよいと思います。
また,カンファレンスは,知識の提供よりも思考過程を共有することを目的にすると意義深いと感じています。例えば当院では,診断能力を鍛える「診断戦略カンファ」,入院患者の診療・治療過程を振り返る「あの人はいま? カンファ」,まれな疾患を扱う「Morning Zebra」といった参加型のカンファレンスを行っています。
鈴木 当院で力を入れているのは,毎朝行っている「モーニング・レポート」です。前夜に当直した研修医が,新規入院患者や急変患者など,勉強になったり悩んだりしたケースを一例プレゼンテーションするというものです。
話し手には,「自分はいまこの疾患を疑っていて,あの疾患は否定しながら話している」と聞き手に伝わるプレゼンテーションを行うように指導しています。一方聞き手は,そこで挙げられる主訴・病歴などの患者情報から鑑別診断,フォーカスすべき身体所見や必要な検査を考え,結果を予想します。こうした形式のレポートを継続することで,病歴をしっかり聴取することやcommon diseaseから,見逃してはいけないlife-threatening diseaseまで鑑別疾患として考えるなど,診断に必要な一連の作業を習慣付けることができるはずです。
“Our job is to read”
藤田 個人でできる勉強法として,明日からでも始められる方法はありませんか。
八重樫 研修医であれば,日本語翻訳版があり,内科の入院患者に必要な知識がまとまった,『Pocket Medicine』(LWW)を読むことを勧めます。あるいはもう少し簡単なものを挙げるとすれば,『総合診療・感染症科マニュアル』(医学書院)でしょう。
抗菌薬の学習については,『Sanford ......
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