「生活のための」医療へ(大島伸一)
インタビュー
2013.01.07
【INTERVIEW】
大島伸一氏(国立長寿医療研究センター総長)に聞く
「生活のための」医療へ
日本は今,高齢化と少子化が同時に進行し,人口構造が変容するステージを迎えています。これはすなわち,これまでの人口構造に基づいて設定されたあらゆるシステムが限界に近づいていると言えるでしょう。高齢者の増加により,病床の不足や医療費の急増が懸念されていますが,問題はそれだけにはとどまらないのです。人口構造が変われば疾病構造も当然変わる。そのときに,医療の在り方はそのままでいいのか。今一度問い直す必要があるのです。
『広辞苑』で「医療」の項目を引くと,「医術で病気を治すこと」とあります。単一臓器・単一疾患を診ることを前提とした医療の在り方を,この短いフレーズで見事に言い尽くしていますね。では,高齢社会における医療が「医術で病気を治すこと」だけで本当にいいのでしょうか。もちろん,「治るものならきちんと治してほしい」のは誰もが願うことであり,治すことの重要性は今後も変わらないでしょう。その一方,複数の慢性疾患を抱える高齢者が一日がかりで病院の各科専門医を受診し,たくさんの薬を処方されて自宅に帰ることが,本人の幸せにつながるのでしょうか。
高齢社会における医療提供体制の在り方を考えたときに,「医療のために生活がある」のではなく,「生活のために医療がある」状態が望ましいはずです。そのためには在宅医療の充実が不可欠であり,厚労省が推進する在宅医療連携拠点事業(グラフ解説図9)はその一方策と言えます。
また,在宅チ...
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