第36回日本死の臨床研究会開催
2012.12.10
第36回日本死の臨床研究会開催
第36回日本死の臨床研究会(会長=滋賀県立成人病センター・堀泰祐氏,京大・若村智子氏)が,11月3-4日,国立京都国際会館(京都市)にて開催された。今回のテーマは「いのちの継承と再生――秋の京都で死の臨床を深める」。本紙では,がん以外の疾患に対する緩和ケアの実現に向けたシンポジウムのもようを紹介する。
大会長の若村氏(左)と堀氏 |
がん患者への緩和ケアは,2006年のがん対策基本法成立以降,多くの医療施設で取り組まれているが,がん以外の疾患を持つ患者(以下,非がん患者)に対する緩和ケアは,いまだその必要性が広く認識されていない。シンポジウム「緩和ケアの展望――非がん疾患の緩和ケア」(座長=かとう内科並木通り診療所・加藤恒夫氏)では,非がん患者がよりQOLの高い終末期を迎えるために必要な緩和ケアについて,会場参加者と共に議論した。
非がん患者はがん患者よりも介護期間が長く,特に高齢者の場合,認知機能の低下から患者本人の意向が得られにくいため,疼痛管理や心理的サポートなどの緩和ケアの必要性が医療者からあまり認知されていないという。そこでまず,池上直己氏(慶大)は,現状の終末期ケアの質とその課題について報告した。
氏が遺族に行った調査によると,家族が病院で死亡した場合よりも特別養護老人ホームで死亡した場合のほうが,「患者や家族へのケア」「医師とのコミュニケーション」に対する評価が高かった。また一般市民を対象に,末期がん,重い心臓病,末期認知症のそれぞれの病状にあると仮定した場合の死亡場所の意向を尋ねたところ,末期がんと重い心臓病では病院,末期認知症では介護施設での死亡を望む回答が最も多かった。特に末...
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