医学界新聞

インタビュー

2012.11.19

【interview】

見えない褥瘡を診る
看護師がエコーを活用する時代へ

富田 則明氏(東葛クリニック病院臨床検査部/超音波検査士)
浦田 克美氏(東葛クリニック病院看護部/皮膚・排泄ケア認定看護師)


 エコー(超音波検査)による褥瘡診断は,患者に対して非侵襲的であることに加え,皮膚表面の観察のみでは難しいDTI(deep tissue injury:深部組織損傷)の鑑別を可能にするため,褥瘡管理の新たな手法として近年注目されている。本紙では,『褥瘡エコー診断入門』(医学書院)の著者であり,日常の回診でポータブルエコーを用いて患者の褥瘡鑑別に取り組んでいる東葛クリニック病院の富田則明氏と浦田克美氏に話を聞いた。


――どのような経緯で,褥瘡回診にエコー診断を導入されたのでしょうか。

浦田 2008年に,皮膚・排泄ケア認定看護師のセミナーで,DTIを見るのにエコーが有効だと習ったのがきっかけでした。当院では透析患者のバスキュラーアクセスおよび中心静脈カテーテルの穿刺支援のためにポータブルエコーが導入されていましたが,それまで私自身は使ったことがありませんでした。そこで,超音波検査士の富田さんに相談し,その日から褥瘡回診に同行していただき,ポータブルエコーを用いるようになったのです。

――初めて褥瘡のエコー画像をご覧になったときは,いかがでしたか。

浦田 さっぱりわかりませんでした。徐々に目が慣れて読めるようになりましたが,実際に自分でやってみると,プローブを当てる角度や力の入れ方などのちょっとした違いでエコー画像がガラッと変わってしまい,全然うまくできませんでした。

 でも,富田さんが描出された画像を見て,これは褥瘡の予防ケアを大きく変える可能性があるものだと実感しました。それから,富田さんにエコーの使い方を教えていただくことになったのです。

富田 朝の時間など,仕事以外の時間も熱心に練習されて,1か月ほどでかなり上達されましたね。最近では私がいなくても,一人で患者さんのエコー写真を撮り,後から一緒にディスカッションすることもあるぐらいです。

写真:褥瘡回診のもよう。プローブを操作しているのは浦田氏。隣にいる富田氏や病棟看護師らとエコー画像を確認しながら,褥瘡の鑑別や経過確認を行う。検査終了時,浦田氏は「だいぶよくなっていますね」と患者さんに声を掛けた。

見えない褥瘡の原因をチームで探る

――褥瘡回診でエコーが活用されるのは,どんな場面ですか。

浦田 いちばん役立っているのは,ステージI(NPUAP分類)の発赤とDTIの鑑別ですね。DT

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