医学界新聞

2012.09.24

第22回日本看護学教育学会開催


教育鼎談のもよう
 第22回日本看護学教育学会(会長=熊本大大学院・森田敏子氏)が,8月4-5日,「あらたなキャリアの可能性を拓く看護学教育」をテーマに熊本県立劇場(熊本市)にて開催された。

◆ARCS動機づけモデルについて考察される

 教育鼎談「キャリアを育む看護学教育に活かすARCS動機づけモデル」(座長=九大・川本利恵子氏)では,ジョン・M・ケラー氏(フロリダ州立大)によるARCS動機づけモデルに関する教育講演を受け,日本の看護教育に同モデルを導入する方法およびその注意点が議論された。

 議論に先立ち,発案者であるケラー氏が同モデルにおける動機づけの要素,学生の「注意(Attention)」を引きつけ,なぜ学ぶかという「関連性(Relevance)」を理解させ,「自信(Confidence)」を持たせ,「満足感(Satisfaction)」を与えること,について解説した。さらに,主体的に取り組む「意志(Volition)」を加えて発展させたARCS-V動機づけモデルを提示。学習者の状況をよく分析し,必要なサポートのみを提供することが活用するポイントであるとまとめた。

 次に発言したのは,本演題でケラー氏の通訳も務めた鈴木克明氏(熊本大)。フロリダ州立大留学時にARCS動機づけモデルと出合った氏は,「学生の学習意欲を切り口にして,授業全般に工夫ができる」と同モデルを評価。また,自身の指導経験を踏まえ,授業実践を振り返る際にはARCS-V動機づけモデルと照らし合わせることが有用であると強調した。

 続いて,小山眞理子氏(日赤広島看護大)が,日本の看護教育にARCS-V動機づけモデルを導入するに当たっての懸念を提起し,ケラー氏がそれに答える形で議論が展開された。「受け身で育った日本の学生に主体性を持たせるにはどうすべきか」という問いに対し,ショートビデオを利用することで学生の注意を引くといった方法や,抜き打ちクイズ,学生に向けたメールの実施により学生たちの自信と満足が生まれることなど,ケラー氏は実践的な方法とその効果を紹介。教員自身による使いやすい手法の模索が大切であることから,座長の川本氏は「学習者に効果を与えるには教員自身の動機づけも重要である」と述べ,本鼎談を締めくくった。

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