医学界新聞

2012.08.20

診療科の垣根を越えTAVIの推進を
第1回TRENDカンファレンスから


カンファレンスのもよう

 大動脈弁狭窄症の治療法として,大動脈弁植込み術(Transcatheter aortic valve implantation;TAVI)をはじめとするSHD(Structural heart disease)インターベンションが世界的に注目されている。既に安定した成績が得られている欧米に引き続き,わが国でも2010年春に開始されたTAVIデバイスの治験がこのほど終了。今まさにTAVIの黎明期が訪れようとしているなか,これからのSHDインターベンションの在り方を考える第1回TREND(Transcatheter Endocardio-vascular)Intervention Conference TokyoValvesが7月8日,東京カンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて開催された。

 本カンファレンスの代表世話人である古田晃氏(川崎市立川崎病院)は,TAVIの開発者であり2002年に初めてヒトに応用したアラン・クリビエ氏(フランス・ルーアン大病院)のもとで研鑽を積んでいる(2961号参照)。カンファレンスでは,現在海外で活躍中ならびに海外での研修を終えた医師のほか,国内の治験を先導する阪大をはじめとした関連諸施設の関係者が登壇し,来るべき日本でのTAVI臨床応用に向け,実践的なディスカッションが行われた。

 TAVIは,カテーテル室,手術室の両方の機能を兼ね備えたハイブリッド手術室で実施する必要性が議論されており,循環器内科,心臓外科に加え麻酔科,放射線科など全メディカルスタッフの垣根を越えた集学的なアプローチが,手術の成否に大きくかかわるとされる。パネルディスカッションの座長を務めた澤芳樹氏(阪大)は,「ハイブリッド手術室の普及や施設基準の整備など,これからの課題に関連する全診療科が一丸となって取り組むべき」とTAVI普及への方策を提示。特別発言として最後に登壇した許俊鋭氏(東大)は,「新しい治療概念であり,1日でも早く臨床に導入されることを期待している」と述べ,いっそうのTAVI推進を要望した。

TREND Intervention ConferenceについてはHPを参照のこと。