医学界新聞

2012.07.23

第34回日本POS医療学会開催


 6月2-3日,聖路加看護大(東京都中央区)にて第34回日本POS医療学会(大会長=聖路加国際病院・福井次矢氏)が開催された。「電子カルテ時代におけるPOS」をテーマとした今回は,会頭である日野原重明氏(聖路加国際病院)の百寿を記念し,同氏による記念講演「POSの歴史と今後の発展を強く望んで」が行われた。

患者の生き方や価値観までわかる診療録を

 POS(Probrem Oriented System)は今から約半世紀前,まだコンピューターが普及していなかった時代にL. L. Weed氏が体系化した診療録の方法論だ。将来的にカルテが電子管理されることや,医療が他職種とのチームで行われることを当時から想定していたWeed氏は,患者の問題点を明確に提起し解決するための系統だった診療記録の必要性を提唱した。これに賛同したJ. W. Hurst氏が,医師だけでなく看護師も学ぶべき理論と考え,看護師への普及に貢献したという。

会頭の日野原重明氏
 日本では,米国に留学した日野原氏がHurst氏からPOSの理念を学び,帰国後の1973年,『POS』(医学書院)と題した日本語の書籍を出版。その後79年にPOS研究会(現日本POS医療学会)が発足して以降,POSは患者の問題解決に望ましい診療録記載の在り方として,現在に至るまで広く実践されている。

 POSのエンドポイントは何か。結果としてのアウトカムが良くなければPOSは意味がない,と日野原氏は強調する。「人生の最期をより良くするために,患者のQOLを重視した診療をしてほしい。これからは,病歴や症状のみならず,患者の生き方や価値観も包含したPOSにしてほしい」と会場に呼びかけた。

 最後に氏は,"Team based learning(チーム基盤型学習)"という教育技法を紹介。学習の良さは,さまざまな立場の人間が多様な意見を出し合うところにあるとし,POSの考え方を他職種と一緒に学ぶことを勧め,今後のPOS発展に期待を寄せた。

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