医学界新聞

2012.07.09

診断を“構造”から問い直す

医学書院「JIMセミナー」のもようから


左から岩田健太郎氏,名郷直樹氏

 岩田健太郎(神戸大),名郷直樹(武蔵国分寺公園クリニック)の両氏を講師に迎えたJIMセミナー「Dr.岩田&Dr.名郷が語る『ゼロからの診断学』」が6月17日,医学書院(東京都文京区)にて開催された。それぞれ感染症,EBMの専門家として名高い両氏が,医学生・研修医に向け,医療に不可欠な診断を根源から問い直した。

その診断は患者のためになるのか

 まず名郷氏が,構造主義科学論からみた診断について語った。「ある100人を,胃癌を持つ人と持たない人に分けることは可能か」と参加者に問いかけ,最も現象を正確にとらえるとされる生検でさえ偽陰性・偽陽性の可能性は排除できないことから,胃癌という現象と診断名にはギャップがあると説明。胃癌の実体は「コトバ」だけでは描けないが,現在の診断は「コトバ」が独り歩きしているのではないかと問題提起した。氏は,「実体」「現象」「コトバ」「私」から成る構造主義医療の枠組み()を示し,コトバではなく実体・現象に立

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