MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2012.06.25
Medical Library 書評・新刊案内
心不全ケア教本
眞茅 みゆき,池亀 俊美,加藤 尚子 編
《評 者》井上 智子(東京医歯大大学院教授・先端侵襲緩和ケア看護学)
「心不全ケア」へ看護からの篤いメッセージ
いつの頃からであろうか,臨床看護や看護研究において「心不全」がキーワードとして台頭してくるようになった。心不全患者の背景として,重症者が多い,病態が多様で複雑である,入退院を繰り返す,生活指導と服薬管理が難しい,等々の現状と課題があり,一方で,“ケアとキュアの狭間にある”心不全ケアの特異性や挑戦のしがいから,多くの医療職,とりわけ看護職を引きつけていったためと受け止めている。
そもそも「心不全」という概念もその病態も,知っているつもりではあった。看護基礎教育でも必須の学習内容である。ところがあらためて心不全を俯瞰すると,その病態は不整脈や先天性心疾患,弁膜症,虚血性心疾患,さらに治療法としては,薬物治療はもとより,ペースメーカ,IABP(大動脈内バルーンパンピング)や植込み型除細動器,VAD(補助人工心臓),そして心臓移植までもがその範囲に含まれる。今日の心不全は,ことほどさように複雑な背景を持ち,誠に手強い相手と言わざるを得ないのである。
本書『心不全ケア教本』は,このような現状の中で“時宜を得た”そして“待ち望まれていた”一冊であると言え...
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